【カメムシ大量発生】この時期に異例の注意報 ナシ農園では被害が 暖冬で冬を越した? 室内に入れないための対策は 福岡

【画像】【カメムシ大量発生】この時期に異例の注意報 ナシ農園では被害が 暖冬で冬を越した? 室内に入れないための対策は

刺激を与えると強い臭いを発するカメムシが西日本を中心に大量発生し、福岡県は5月1日、この時期としては異例の注意報を出しました。通常は秋を中心に活動が活発になるカメムシですが、なぜ、この時期に増えているのでしょうか?

9日、福岡県朝倉市にある果樹園を訪ねました。

■町田梨園・町田久寿夫さん

「こんな感じです。ここ、へこんでいるでしょう。

■阿部まみフィールドキャスター

「これは何の被害ですか。」

■町田さん

「カメムシが吸った跡だと思います。中の汁を吸われちゃって。」

育ち始めたナシの実の一つが、カメムシの被害ででこぼこになり、茶色く変色していました。

■町田さん

「今からの時期に被害に遭うと実が変形して商品にならないです。困ります。」

この農園では例年、8月半ばごろからカメムシが現れるといいますが、ことしは3月下旬から発生しました。

50年以上、ナシを育てている町田さんにとっても、こんなに早くカメムシが発生するのは初めてです。

ナシにカバーをかけたり、殺虫剤をまいたりと対策に追われています。

これは8日、高知県の住宅の庭で撮影された映像です。おびただしい数のカメムシが樹木に集まっていました。

カメムシによる農業被害が懸念される場合に出される「注意報」は、3月下旬から5月2日までに、西日本を中心とした13の府と県で発表されています。

福岡県は5月1日に発表しました。この時期に注意報を出したのは、ここ10年で初めてだということです。

病害虫の発生予測などをする、福岡県筑紫野市にある福岡県病害虫防除所では、定期的にカメムシの数を計測しています。

■元木寛人フィールドキャスター

「こちらは何でしょうか。」

■福岡県病害虫防除所・石井貴明所長

「臭いでカメムシを引き寄せて、下の水盤に落として捕まえる"わな"です。」

カメムシは蒸し暑い夜に活動することが多く、気温が低めだった8日夜から9日にかけては1匹だけでした。先週、捕獲したカメムシも見せていただきました。

室内に入れないための対策は

■元木フィールドキャスター

「かなりの数ですが、どれくらい。」

■石井所長

「およそ300以上いると思います。」

■元木フィールドキャスター

「ビニールの中からでも、青臭いというような強烈な臭いがしますね。」

4月の捕獲数は1519匹でした。去年の同じ時期は19匹で、およそ80倍です。

■元木フィールドキャスター

「この時期に、これだけの数がとれるというのは。」

■石井所長

「異常な状況だというふうに考えています。」

去年の秋から大量発生したカメムシ。通常は冬の寒さでほとんどが死に絶えますが、暖冬だったことで、冬を越したカメムシが多かったとみられています。

■石井所長

「この時期に多い年は、年間を通じて多いという可能性が大きくなっています。カメムシが増えそうな気配があったらすぐに防除していただきたい。」

季節外れのカメムシ発生を受け福岡市のホームセンター、グッデイ西福岡店では。

■グッデイ広報・島村菜見子さん

「カメムシ対策の殺虫剤コーナーがこちらです。」

■永易友希記者

「商品によってはありませんね。」

■島村さん

「かなり今、品薄の状態です。」

こちらの店ではカメムシ専用の予防・殺虫アイテムを4種類取り扱っていて、すでに在庫がないものもありました。

■島村さん

「ことしのゴールデンウイーク期間中に急激に伸びて、前年の2倍ほどの売り上げとなっています。ことしはすごく動きが早いなというふうに感じています。」

■永易記者

「カメムシ専用の商品がない場合、ほかの殺虫剤でも対応できるものがあるということです。」

複数の害虫を対象にしたスプレーの場合は、対象害虫に”カメムシ”と表記されている商品を選んでください。

ことしは年間を通じて多くなるとみられるカメムシ。農家でも家庭でも、早めの対策が必要になりそうです。

カメムシを室内に入れないための対策法です。

▽まずは、窓や網戸の隙間を塞ぎましょう。カメムシは3ミリ程度の隙間でも侵入しますので、隙間テープなどを活用しましょう。

▽洗濯物にカメムシがつかないよう、外干しの際に防虫ネットをかけたり、市販の虫除け剤を置いたりしておきましょう。

▽カメムシは紫外線に寄ってくる傾向があります。照明を紫外線の出ないLEDにすると、寄りつきにくくなるとも言われています。

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