【独自】逮捕の瞬間 ロマンス詐欺で出し子とみられる67歳女を逮捕 医師になりすまし70代女性から現金だまし取る

恋愛感情を抱かせ金をだまし取るロマンス詐欺事件で、容疑者のフィリピン国籍の女が逮捕される様子を福島テレビのカメラが捉えた。女は「SNSで指示された」などと供述している。

医師になりすまし接触

5月8日に逮捕されたフィリピン国籍のクロセ・アーリンダ・ベルガラ容疑者(67)は、恋愛感情を持たせて金をだまし取る、ロマンス詐欺グループの一人とみられている。

「私は医師でウクライナに派遣されている」
2023年11月、詐欺グループはウクライナで働く日本人男性の医師になりすまし、SNSで福島県二本松市の70代女性に接触。

「愛しています」「あなたのような女性に出会うことが夢だった」
何度かメッセージのやり取りを重ねた上で「報酬で300万ドルを受け取った」「日本に送りたいがお金がかかる」このように現金を要求し、被害者の女性から約50万円をだまし取った疑いがもたれている。

詐欺グループの出し子か

クロセ容疑者は、振り込んだ金を引き出す「出し子」とみられていて、犯行には自分の口座を使用。これがきっかけとなり、クロセ容疑者の犯行が明らかになった。

調べに対し、現金を引き出したことは認め「SNSで指示された」などと供述しているクロセ容疑者。警察では被害者の女性が総額で150万円をだましとられていることから、余罪や他の共犯についてもさらに詳しく調べを進めている。

騙されやすく気づきにくい犯罪

こうした恋愛感情を抱かせ金をだまし取る手口は「ロマンス詐欺」と呼ばれていて、人の心理を巧みに利用し騙されやすい、騙されていることに気づきにくい点があると専門家は指摘する。

日本大学危機管理学部の木村敦教授は「最初に自分に興味を持ってくれた人に対して自分も興味を示すし、やり取りの中で段々仲良くなっていく。相手が困っている時には、自分も相手をサポートしたいという気持ちになっていく。そういった信頼関係・心理が利用されるので、十分な信頼関係が構築された後にお金の話が出てきたときには、信じてお金を出してしまいやすい」という。

SNS型投資・ロマンス詐欺の被害

このロマンス詐欺は、一定の関係を築いた後にニセの投資話を持ちかけることが多く、投資詐欺と明確に区別することはできない。
福島県内では、2023年は23件で2億2902万円。そして2024年は3月まで3億2820万円と急増している。

被害が増えている要因として一つ考えられるのが、2024年から始まった新NISAなど数年前と比べて投資への関心が高くなっていることが挙げられるという。実際に投資に興味を持ち投資を目的としたSNSグループに誘われ、被害に合うケースもある。

被害額が高額なのも特徴

福島県内のなりすまし詐欺と比較してみると、2024年の3月までの被害件数はどちらも18件だが、なりすまし詐欺では1件あたりの被害額が約250万円なのに対し、投資・ロマンス詐欺は約1800万円と額が大きいのも特徴。

自覚・相談で被害回避

日本大学危機管理学部の木村敦教授は「自分だけで詐欺に気づくことは本当に難しい」と話す。
まず、SNSでマッチングサイトや投資などを利用する際は詐欺師が潜伏し接触する機会があると自覚すること。そして、何かを始める時は信頼出来る家族や友人に相談や報告することが大事だという。そうすれば、周囲の人も気がつける環境ができる。

誰しもが被害に遭う危険がある。被害にあった場合は、すぐに警察に相談を。

(福島テレビ)

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