山本由伸が4連勝!メジャーデビューの“惨劇”から一転、投球に訪れた“変化”とは

(写真・アフロ)

2024年5月8日、ドジャースの山本由伸がマーリンズ戦に先発し、メジャーに来て自己最長となる8回を投げ抜き、5安打2失点5奪三振で4連勝を飾った。

初回、先頭打者のチザムJr.に初球をホームランされたが、この失点が16イニングぶりの失点。ここ数試合のピッチングは、それほど安定している。デーブ・ロバーツ監督も、それを認める一人。

試合後の会見では「(山本のピッチングは)ファンタスティック! ファンタスティック!」と繰り返し大絶賛。初回の被弾についても「切り替えて持ち直した」と続け、「今日はスレート、カーブ、スプリットとすべての球種が効果的だった。本当にいい仕事をしてくれた」と締め括った。

メジャーデビューとなった3月21日のパドレス戦では、先発した日本人メジャーリーガー初となる1回5失点KOを食らった。日本では見ることのない“惨劇”だっただけに、その後の登板が心配された。

しかし、3年連続”投手四冠”の実力は伊達ではなかった。4月26日のナショナルズ戦、5月2日のダイヤモンドバックス戦ではともに6回を投げて零封。相手打線を寄せ付けなかった。NHK BSのメジャーリーグ中継で解説を務める武田一浩氏は「山本はナショナルズ戦から変わった」と指摘する。

「メジャーでは、2年くらい前からストレートに威力のある投手は低めに投げなくなったんです。なぜならメジャーにはローボールヒッターが多いからです。でも、日本で投げていた山本は、そのときの習慣でストレートは低め、にこだわっていたんだと思います。だから打たれていました」

実際、日本では山本は被本塁打の少ない投手として知られていた。1軍で投げるようになった2017年から被本塁打は多いときでもシーズンを通しても最多で8本。昨年はわずか2本だった。それが今年はまだ5月はじめだが、すでに被本塁打は5本に達した。

「日本とアメリカの違いでしょう。メジャーの打者はパワーがあるからだと思います。でも、確かに山本は、最初のころはストレートを低めに集めて打たれていました。それがナショナルズ戦から変わったんです。ストレートを高めに投げるようになった。確認してはいないから分かりませんが、今永昇太を参考にしているんだと思います。彼は高めのストレートで成功していますから。山本は『力のあるストレートを高めに、変化球は低めに』で安定感が増した。球数も少なくなりましたし、いい投球が続くでしょう」

武田氏は「今年のナ・リーグ新人王は、この日本人ピッチャー2人で争われる」とも語っている。

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