「なぜ教育が必要なのでしょうか?」教育改革の旗手・工藤勇一先生に聞いてみた

By GetNavi web編集部

元横浜創英中学・高等学校長で、2014年から2020年3月まで千代田区立麹町中学校長を務め、宿題廃止・定期テスト廃止・固定担任制廃止等の教育改革を行い、教育関係者やメディアの間で話題となった工藤 勇一先生。そんな工藤先生が監修を務めた『家庭・学校・社会みんなに知ってほしい 教育について工藤勇一先生に聞いてみた』(Gakken・刊)。

目まぐるしく社会が変容している現在、教育観は大きくアップデートしていく必要があります。本書では、家庭・学校・社会のみなさんが持つ教育の悩みの数々を、常識を覆して日本の教育を牽引してきた、工藤勇一先生がイラストでわかりやすく解説しています。

今回は本書より『なぜ教育が必要なのでしょうか?』について抜粋して紹介していきます。

みんなが自由で、みんなが幸せな社会を実現する

人類は、教育が普及したことで科学技術や経済が発展し、生活水準は劇的に向上しました。そんな現代において教育の課題となっているのは「自分さえよければいい」という利己主義です。暴力、人権侵害、環境破壊などの元凶です。核兵器などの科学技術が発達したため、利己主義は人類を滅ぼす可能性すらあります。

利己主義は人間の本能的な欲求です。だからこそ、教育の力で理性的に乗り越える努力を続けることが不可欠なのです

世界中の教育関係者が議論を尽くしてまとめたOECD「ラーニング・コンパス2030(以下、ラーニング・コンパス)」では、これからの教育の目的は「個人及び社会のウェルビーイング」としています。これは、教育の最上位の目的と考えることができます。

利己主義の話と同様の考え方で、「個人のウェルビーイング」だけを追求すると対立が生まれ「社会のウェルビーイング」は実現しません。つまり、ポイントは「両立」です。

その両立に欠かせないのが対話やコラボレーション。違いを認め、共通のゴールを見いだし、お互いに歩み寄る。教育立国ではそうした姿勢や技術を教えることを教育の軸に据えて教育改革を進めています。

国連のSDGsのゴールも「leave no one behind(誰一人取り残さない)」。みんなが自由でありながら、みんなが幸せな社会を目指すのが人類の使命です。

ウェルビーイングとは「心身ともに幸福な状態、良好な状態」のことです。目指すのは教育による「個人のウェルビーイング」と「社会全体のウェルビーイング」の両立

【KEYWORD】

ラーニング・コンパス2030: 「 OECD Future of Education and Skills 2030」プロジェクトの最終報告書の1つ。2019年に発表され、教育の指針が示された。

【書籍紹介】

家庭・学校・社会みんなに知ってほしい 教育について工藤勇一先生に聞いてみた

監修:工藤勇一発行:Gakken

目まぐるしく社会が変容している現在、教育観は大きくアップデートしていく必要があります。家庭・学校・社会のみなさんが持つ教育の悩みの数々を、常識を覆して日本の教育を牽引してきた、工藤勇一先生がイラストでわかりやすく解説します。

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