適切な注意や指導をしたはずなのに、部下からの「パワハラ」呼ばわり…悩む前に知っておきたい、大切なこと【Z世代社長が助言】

会社での「ハラスメント」に敏感になることが求められる昨今。良好な関係を築いていくためは重要なことですが、部下が敏感になるあまりに、些細なことでもハラスメントと言われることも少なくありません。そういった「ハラ・ハラ(ハラスメント・ハラスメント)」には、どのように対処すればよいのでしょうか? 『Z世代の取扱説明書 Z世代社長が語るリアルな本音』(サンクチュアリ出版)より、自身もZ世代である、株式会社OMOCHI代表取締役である、白附みくる氏が解説します。

「ハラスメント」を招かないために──13のポイントを押さえよう

近年はどの企業も「ハラスメント」に神経質になっています。

わたしも会社員として働くなかで、「これってパワハラじゃないの?」と感じた経験があり、また同年代の友人から相談を受けることもあるので、Z世代から「それはハラスメントです!」と言われないよう、次のことに留意してはいかがでしょうか。

1.「なんで?」「どうして?」ではなく、「何かあった?」「大丈夫?」といった言葉を使う

2.「期待しているから」という言葉は、イントネーションや受け手のタイプによっては「圧」に感じるので、注意が必要

3.関西弁は、とくに慣れない人には怖いので、控えめに

→語尾に「ね」や「よ」を入れるだけで、柔らかく聞こえます

4.ミスだけを指摘するのはNG

→このミスをするとどうなるのか、結果的に自分にとってよくないと自分事として考えさせましょう

→「自分のことを思ってくれている」と相手が感じる言葉をかけてあげてください

5.「いま、忙しい!」で終わらず、いつなら時間をつくれるかをきちんと伝える

6.「成果」のみで判断せず、「過程」を評価してから指摘する

7.陰で他人の悪口を言わない

→Z世代は敏感なので、「自分も陰で言われているのでは?」と心配します

8.愚痴を言っているときに、否定しない

→「そんなことを言うもんじゃないよ」はNG、「そう思うときもあるよねぇ〜」はOK

→どうしても改善、もしくは撤回したい内容の場合は、「そう思うときもあるよねぇ〜」に続けて、「でも、こんなとらえ方もできるよね」と意見を出してあげましょう

9.指摘・指導したあとは、フォローやアイスブレイクを入れる

10.小さいことでも、日頃から感謝の気持ちを伝える

11.Z世代は、気分のアップダウンが激しい人が苦手なので、できる限りわかりやすく、統一する

12.人に決めつけられるのは嫌いなものの、自分ひとりで考えさせられるのも不安なため適度なフォローが必要

13.否定されることに免疫が少ないため、できるだけ肯定してあげる

「いろいろ面倒だな……」と思われるかもしれませんが、これらを意識することで、関係性はぐっとよくなります。Z世代も、人生の先輩に歩み寄りたいと思っている人は多いのです。

お互いに「入口」を間違えなければ、コミュニケーションは円滑になるはずです。

「ハラスメント・ハラスメント」は悩まないことが最善策

最近は、「ハラスメント・ハラスメント(ハラ・ハラ)」に困っている企業も多いのではないでしょうか。とくに、部下が上司に対して「なんか嫌だな」と感じたとき、「それってパワハラですよ!」と脅すようなケースも出てきており、疲弊している管理職の方々も少なくないでしょう。

部下に必要な注意や指導をしたのに「パワハラだ!」と返されたら、「じゃあ、どうすればいいの?」と思ってしまいますよね。

これはわたしの見解ですが、このような訴えをするのはごく一部の人だけではないでしょうか。傾向として、自己肯定感がとても低いために噛みついてくる人が多いのではないかと思うのです。幼少期から家庭などで「何か」を感じ取り、自分に対する否定感を持ち続けているケースが少なくないように感じます。

噛みつく人は、とても敏感な人なのでしょう。

ハラ・ハラをしてくる人は、本当は寄り添ってほしい、ほめてほしいと思っているはずです。もっとも扱いが面倒なタイプとも言えます。

ほかの人はリスクヘッジとして、依存先を複数持っているものですが(依存がいいとは思いませんが……)、ハラ・ハラをするタイプの人は依存先をひとつに絞り込んでしまいます。依存していたのに、何かのきっかけでその相手を敵視することもあるので、ひとつのコミュニティに定着せず、長い付き合いもできません。結果として、すぐに会社をやめてしまうのです。

このような人を変えるのは現実的に非常に難しく、管理する側の負担が大きすぎるので、早い判断が求められます。さもなければ、マネジメント側が疲弊して壊れてしまうリスクがあります。相手から100%の愛を求められると、疲弊度合いは相当なものでしょう。

少なくともこのタイプの人に罪悪感を抱く必要はありません。依存先を探しているだけなので、うまく付き合わなくてもいいのではないでしょうか。ただ、虚言癖があるため、会話履歴などをメモしておく、録音をしておくなど、労基への駆け込みやネットへの書き込みの対策は必要です。

人を引きずり下ろして自分のしあわせを得る、いわゆる「Lose-Lose」に持ち込もうとするので、大切なのは、相手をする側がひとりで抱えないことでしょう。そのようなタイプと割り切って、対策をしたうえで気にしないようにしましょう。「自分がいる場所ではない」と思ったらすぐにいなくなります。あまり揉めないようにしながら、いなくなるようにうまく持っていくのが最善の方法です。

心に傷を負っている人は、マネジメントによって簡単に変わる相手ではないと考えたほうがいいかもしれません。

白附 みくる

株式会社OMOCHI代表取締役

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