山登りを始めると、一度は憧れるのが豊かな自然の中で行うテント泊。しかし、チャレンジしたい気持ちはあるものの、荷物が重くテント場まで辿り着けるか不安になることも。
やはり、体力にあまり自信がない場合は、登山口からテント場までの距離は短いほどよいだろう。そこで今回は春から秋にかけ、初心者でも安心して都心から1泊2日で行けて、登山口からのコースタイムが1時間以内のテント場を紹介しよう。
■登山口から20分！ 青苔荘テント場 （長野県佐久穂町・北八ヶ岳）
一つめが、北八ヶ岳にある山小屋「青苔荘」のテント場。登山口の目の前には、180台停められる有料駐車場があり、アクセスもよい。また、季節運行だがJR中央線茅野駅や、JR長野新幹線佐久平駅より登山口付近を経由するバスも利用できる。
登山口から青苔荘までは約20分。登山口を過ぎるとすぐコメツガ、トウヒ、シラビソの原生林が広がり、非日常感が漂う神秘的な森の中を進む。人気の八ヶ岳エリアのため、木製遊歩道が整備され、登りもほとんどなく歩きやすい。テント場は青苔荘の奥に位置し、フラットな場所は少なく、斜面に複数の木板が設置されている。
すぐ近くでは、広大な原生林の中に広がる「白駒の池」を眺められる。標高2,100m以上の湖としては日本最大の天然湖だ。池の周りの遊歩道をのんびり歩いたり、ボートを借りてゆったり過ごすのもおすすめだ。 青苔荘から比較的近いピークは約1時間45分の「にゅう」や、約45分で到着する「高見石」があり、さらに足を延ばして登るのもおすすめだ。多彩な楽しみ方ができる青苔荘のテント場、ぜひ一度訪れてみては。
●施設名 青苔荘
・住所：〒384-0704 長野県南佐久郡佐久穂町八郡603
・電話番号：090-1423-2725（8:00〜18:00）
■登山口から30分！ 福ちゃん荘（山梨県甲州市）
福ちゃん荘のテント場は日本百名山のひとつ、大菩薩嶺（だいぼさつれい）の麓にある。上日川峠（かみひかわとうげ）のロッヂ長兵衛（ちょうべえ）脇の登山口から登ると、わずか約30分で到着する。
登山口周辺には、合計300台以上停められる第1〜第4駐車場があり、車でのアクセスも便利。公共交通機関の場合、上日川峠へは4月下旬～12月下旬まで甲斐大和（かいやまと）駅発の上日川峠行きバスを利用できる。
しかし、それ以外は塩山駅発で終点は上日川峠より手前の大菩薩登山口となる。大菩薩登山口から上日川峠までは2時間以上かかるため、注意が必要だ。
上日川峠の登山口から福ちゃん荘までの登山道に難所はなく、比較的なだらかな道が続く。登山口からは舗装路も並走しており、この道を歩いても福ちゃん荘に到着する。
テント場は福ちゃん荘より、少し下がったところにある。フラットな部分が多く、石も少ないため、テントも設営しやすい。
福ちゃん荘から大菩薩嶺山頂までは約70分、山頂から大菩薩峠までは約50分で到着する。山頂は木々でふさがり展望は望めないが、山頂近くの雷岩から大菩薩峠までは稜線が続き、天気のよい日は富士山などすばらしい景色が楽しめる。
●施設名 山小舎 福ちゃん荘
・住所：〒404-0022 山梨県甲州市塩山上萩原2332
・電話番号：090-3147-9215（8:30〜16:30）
■登山口から50分！ 大倉高原テントサイト（神奈川県秦野市・表丹沢）
最後に紹介するのは、表丹沢にある大倉高原テントサイトだ。県立秦野戸川公園近くの大倉登山口から塔ノ岳へ続く登山道の途中にあり、丹沢で唯一のテント場だ。登山口へのアクセスもよく、車でも公共交通機関でも行きやすい。車は秦野戸川公園や近くのコインパーキングに駐車でき、バスは小田急線渋谷駅から1時間1〜4本運行され、大倉バス停で降車する。
登山道は整備されてはいるが、やや道幅が狭い所や急な道があり、紹介したテント場の中でも、登りがいがある。40分程登っていくと分岐があり、左手に行くと林間の開けた場所にある大倉高原テントサイトが現れる。塔ノ岳山頂は、そこから真っ直ぐ登って行き、約2時間45分で到着する。
テント場は無料で利用可能だ。小屋はないがトイレや水場は整備されている。トイレ使用時は協力金100円を支払うルールとなっている。また水場から流れる水は煮沸消毒が必要で、天候によっては使用できなくなる可能性があるので、飲料水を持って行くことをおすすめする。
標高約600mにあるテント場の南側からは、秦野市街が見下ろせ、日が暮れると夜景も一望できる。
●施設名 大倉高原テントサイト
・住所：〒259-1304 神奈川県秦野市堀山下
・電話番号：0463-82-9648（秦野市役所 環境産業部 観光振興課 観光施設担当）
■テント場を選ぶときは体力と相談しよう
必要な装備をすべて背負って移動するテント泊登山は、荷物が重くなる傾向にあり、予想以上に体力が奪われる。自分の体力にあったテント場を選び、徐々に経験を積みながらステップアップしていこう。
※この記事の情報は2024年5月現在のものです。内容が変更される場合もありますので、最新の情報はリンク先のHPでご確認ください。
