ごみを拾って日本一周! 関西出身の男女2人 2022年から歩き旅…「温かい」長崎通過中

ごみ拾いをしながら海沿いを歩いて旅する籔根さん(右)と福本さん=長崎市春日町

 リヤカーを引き、ごみ拾いをしながら日本一周をしている籔根頌己(やぶねしょうき)さん(34)と福本晃子さん(35)が本県入りしている。「828日目」の9日は、長崎市宿町から茂木町間約12キロを歩いた。総移動距離1万キロまであと約60キロ。その場その時の出会いを楽しみに食文化や県民性、方言の移ろいを感じながら旅を続ける。
 兵庫県出身の籔根さんはヒッチハイクや自転車旅を経験。大阪府出身の福本さんも全47都道府県や100カ国以上を放浪した。歩いて日本一周が10代からの夢だった籔根さんが「いい年になったし自己満足で終わるのは嫌。せっかくだし何かできることをしながら」と福本さんを誘い、ごみ拾い行脚に出ることにした。
 2人は2022年2月、兵庫県西脇市を出発し福井県に向かった後、時計回りに海沿いを巡っている。本県入りは4月28日。「ストレスになるから」と期限は決めず、暑さ寒さが厳しい時は働いて資金を蓄える。

屋根にソーラーパネルを搭載した重さ250キロのリヤカー。「R・530」はリヤカー・ごみゼロというメッセージ

 ソーラーパネルをリヤカーの屋根に取り付け、充電器に電力をためて炊飯器やスピーカーを動かす。生活用品も積まれたリヤカーは重さ250キロ。これに拾ったごみが加わっていく。最も多いのはペットボトルや空き缶、紙パックなど飲み物の容器。海沿いは網など漁具も多い。拾ったごみの総重量は6トン以上。県内分は9日までに約90キロだった。自治体からボランティア用のごみ袋をもらい、ルールを確認しながらきちんと分別して搬入している。
 「初めての歩き旅はこんなに出会いが多いのかと。(一周旅を知り)感激で泣きながら走ってくる人もいて、逆に元気をもらう」と福本さん。本県だけが未踏だったという籔根さんは「見かけてすぐに家に招いてくれる人が多くとても温かい」と印象を語った。野母崎に向かった後北上し、大村湾を巡る。
 道中記はインスタグラムのアカウント(futari.aruki)などで発信している。

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