新幹線開業で利便性アップ 福井の“エキマエ”に新拠点 学生や若手クリエイターに新たなビジネスチャンスを

4月、福井駅の目の前に、学生や若手クリエイターたちの交流拠点となる施設がプレオープンした。福井県内に北陸新幹線が開業し、首都圏とのアクセスが良くなったことで、新たなビジネスチャンスが期待されている。

若者の挑戦をバックアップ

4月26日、福井駅西口にプレオープンしたのは「FWI Studio」(福井市中央)。
IT企業の「FPEC(福井市)」が、ビジネス交流の場を作ろうとオフィスの一部を改装して整備した。

FPECは、県内の若者と経営者をつなぐ県のスマートフォン用アプリを運営していて、若者の挑戦をよりバックアップしようとスタジオを設置した。

スタジオは約30人を収容でき、今後、カメラや大型スクリーンをそろえることになっている。利用料は1時間5000円で、少人数のセミナーや双方向のコミュニケーションがとれるイベント開催を想定している。

プレオープンでは、学生と社会人の交流会が行われた。企画したのは、モバイルソフトウェアの開発などを手掛ける「jig.jp(本社:東京)」の福野泰介社長。

福野社長は3年前から毎月、場所を変えて学生とクリエイターの交流会を開催している。今回の交流会には、経営者やITクリエイター、公務員などさまざまなジャンルの社会人が参加した。

カジュアルな雰囲気の中、学生たちは、企業の経営者と話をしたり、クリエイターが自作したプログラムやVRソフトを体験したりしていた。

参加した学生は「来る予定はなかったが、VRをやると聞いて面白そうだなと思って来た」「生成AIの研究をしているので、研究につながるものが得られたらと思い参加した」などと話した。

「若者」がコンセプトの交流スペース

FPECの小原涼CEOは「共通のテーマをもとに、いろんな世代が集まり互いが学びあえるような場は、福井では少ない」と話す。「FWI Studio」のメインコンセプトは「若者が集える場所」の提供だ。

ここ数年、多様な働き方の浸透でコワーキングスペースやシェアオフィスなどの普及が進み、社会人同士が交流できるスペースは数多く生まれたが、「若者同士の交流」や「学生と社会人の交流」に主眼を置いたものはほとんどないという。

FPEC・小原涼CEO:
若者同士の交流を通していろんなアイデアやつながりが生まれて、“何か一緒にやってみよう”というチャレンジの第一歩を踏み出せるような場所にしたい。

「若者が集える場所」というこのスタジオのコンセプトを、参加した学生に伝えると「福井は市内だけの友達とかで結構固まりがち。住む場所によって人は全然違うと思うので、いろんな人が一つの場所で話ができると、見識が広がると思う」「自分の能力や個性を見つける機会になるし、大人との交流を通して社会について本音で話せる場にもなるので、すごく良い機会だと思う」と好意的だった。

電車でふらっと来られる好立地

また、「駅前」という立地も好評の理由のようだ。

交流会に参加した学生:
福井はどうしても車がないと移動できない。学生は公共交通機関を使って中心部に集まれるので機能的にすごく良い。

交流会の主催者でjig.jpの福野泰介社長も「大人たちは普段、車移動なので、駅前は『面倒くさい』『駐車料がかかる』など足が遠のく」としたうえで、「電車でふらっと来られるのは、若者ならでは。“我がフィールド”としてスタジオを使ってもらえると思う」と考えている。

北陸新幹線の開通で、県外から人を呼び込みやすくなったことも利点ととらえている。

「FWI Studio」では夏ごろのグランドオープンを目指し、大型スクリーンやカメラ、音響をそろえ、国や地域を超えたオンライン交流の場としての活用も見込んでいる。

駅前に生まれた「若者」がコンセプトの交流スペース。ここから生まれる独創的なアイデアやシナジーに期待が高まる。

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