ニックスを牽引するブランソンはNBAベストPG?ファンの質問をグリーンが一刀両断「どういうことだよ? アホらしいわ」<DUNKSHOOT>

NBAのプレーオフは現在カンファレンス・セミファイナルの激闘が繰り広げられており、イースタン・カンファレンス第2シードのニューヨーク・ニックスはインディアナ・ペイサーズ(第6シード)相手にシリーズ2連勝を飾った。

ニックスは4月初旬に今季終了が決まった得点源のジュリアス・ランドル(右肩)をはじめ、ベンチスコアラーのボーヤン・ボグダノビッチ(左足)、控えセンターのミッチェル・ロビンソン(左足首)が戦線離脱。現地時間5月8日の第2戦ではOG・アヌノビーも左ハムストリングの負傷で途中退場し、10日の第3戦を欠場することが発表されている。

複数のローテーションメンバーをケガで欠くなか、トム・シボドーHC(ヘッドコーチ)の下、エナジーを落とさず白星を積み上げているニックス。中心となっているのはジェイレン・ブランソン、ジョシュ・ハート、ドンテ・ディヴィンチェンゾの“ビラノバ大出身トリオ”だ。
オールスターガードのブランソンは、第2戦の第1クォーター終盤に右足を痛めてロッカールームへ下がるも、後半はフル出場して両チーム最多の24得点を奪取。試合全体で29得点、5アシスト、3スティールで勝利の立役者に。

ハートはシリーズ初戦に続いて2試合連続で48分間のフル出場。第2戦では19得点、7アシストに加えてゲームハイの15リバウンドをマークした。今プレーオフ8試合のうち4戦でフル出場している193cm・98kgの鉄人は、平均46.8分でリーグトップ、リバウンドも12.8本で3位と、見事な働きを見せている。

ディヴィンチェンゾも今プレーオフ平均15.6点、3.6リバウンド、2.6アシスト、1.0ブロックに3ポイント成功率41.7%(平均3.1本成功)をマークし、攻守で貢献。ペイサーズとの2試合では平均26.5点と絶好調だ。

そのなかでも一際輝くのが、今プレーオフでリーグベストの平均35.6点を誇るブランソンなのは間違いないだろう。フィラデルフィア・76ersとのファーストラウンド第4戦から4試合連続で40得点超えと、1993年のマイケル・ジョーダン(シカゴ・ブルズ)以来となるスコアリングショーを披露。前述の通り負傷により記録は途絶えたが、2000年以来初のカンファレンス・ファイナル進出を目指すチームを力強く牽引している。 そうしたなか、9日にドレイモンド・グリーン(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)のポッドキャスト番組『The Draymond Green Show』の最新エピソードが公開。そこで「今年のプレーオフで見せているパフォーマンスによって、ジェイレン・ブランソンはNBAベストのポイントガードになりましたか?」というファンからの質問が読み上げられた。

ブランソンは6年目の今季にオールスター初選出を果たし、初のオールNBAチームに名を連ねることも予想されている。加えてプレーオフの舞台で残している強烈なインパクトにより、このような質問が上がるのも納得だ。

だがグリーンはチームメイトのステフィン・カリーを挙げ、ファンの意見を一刀両断した。
「マジでないわ。NBAにはステフ・カリーがいるんだぞ。クレイジーだろ? どういうことだよ? アホらしいわ。ステフ・カリーはまだNBAにいて、今でも凄まじい。そんな話、やめてくれよ」

今季のウォリアーズはプレーイン・トーナメントで敗れ、3年ぶりにプレーオフを逃したが、36歳のカリーが依然としてリーグトップレベルの実力者であることは疑いようのない事実。さらにグリーンは「ルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス)もポイントガードだぞ」と指摘すると、先の質問を読み上げたホスト役も「シェイ・ギルジャス・アレキサンダー(オクラホマシティ・サンダー)もだ」と続け、ファンの意見には賛同できないといった表情をにじませた。

ブランソンが驚異的な活躍でニックスを引っ張っていることは間違いない。ただ、リーグにはカリー、ドンチッチ、ギルジャス・アレキサンダーといったオールNBA1stチーム選出経験のあるポイントガードたちがひしめいている。それを考えれば、現段階でブランソンがベストという結論を出すのは時期尚早といったところか。

文●秋山裕之(フリーライター)

© 日本スポーツ企画出版社