尼崎7人死傷事故 被告が起訴内容認める 地裁尼崎支部で初公判 検察側「正常な運転、困難な状態に陥った」

神戸地方裁判所尼崎支部の外観=尼崎市水堂町3

 2023年9月、兵庫県尼崎市内で7人を死傷させる事故を起こしたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)の罪に問われた京都府舞鶴市の無職の男(44)に対する初公判が10日、神戸地裁尼崎支部(田中健司裁判長)であった。男は起訴内容を認めた。

 起訴状などによると、男は23年9月23日午前11時ごろ、尼崎市神田中通2の市道で、持病の統合失調症の影響で支障が生じる恐れがあったにもかかわらず軽乗用車を運転し、対向車線に進入して自転車の男性=当時(62)=をはねて死亡させたとされる。さらにこの前後にも、乗用車などと4件の衝突事故を起こし、計6人に重軽傷を負わせたとされる。

 冒頭陳述で検察側は、男が舞鶴市などを運転中、父の声が幻聴で聞こえ、兵庫県南部へ向かうことを決めたと説明。その後「止まるな、突っ込め」などと元上司の幻聴もあり、尼崎市内で「正常な運転が困難な状態に陥った」とした。

 弁護側は、男が「(統合失調症の影響で)心神耗弱の状態にあった」と主張。検察側は心神耗弱について「積極的に争わない」とした。

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