教員免許失効中に19時間分授業、60代非常勤講師 更新制廃止で学校側も有効と思い込み

滋賀県庁

 滋賀県教育委員会は10日、県立高に勤務していた60代の男性非常勤講師の教員免許が失効していたとして、任用を無効にしたと発表した。免許失効中に行った授業は有効という。

 男性は元県立高教諭で、教員免許の期限だった2021年3月末に65歳でいったん教職から退いた。22年7月1日に教員免許更新制が廃止された際、自身の免許も有効になったと思い込み、今年4月9日から7月19日までの期間で県立高の非常勤講師として任用され、4月11日から30日まで数学の授業を19時間分行った。本来なら男性は免許の再授与申請を行う必要があり、学校側も免許が有効だと思い込んでいたという。

 県教委が学校から提出された書類を審査する中で5月2日に失効状態が判明、4月9日からの任用を無効とした。失効中の授業については、適切に実施されたとする校長判断や文部科学省の見解などを踏まえて有効としている。

 授業を受けたのは2、3年生約90人。余計な不安や動揺を与えないためとして、当該の生徒や保護者に説明はしていない。県教委は今後、各校に周知したりチェックシートの提出を求めたりと再発防止に努めるとしている。免許更新制があった期間には県内の公立小中学校で免許失効事案は計3件あった。制度廃止後は今回が初めてという。

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