新型コロナの後遺症によって働けなくなった患者を特集。
専門医によりますと、働く世代の患者の約7割に仕事への影響が出ています。
手すりにつかまらなければ階段は、上れなくなりました…。
【本庄規雄さん】
「5キロぐらいのマラソンの後の倒れこめない息切れですね」
ここ4年は、ほとんどの時間をベッドの上で過ごしています。
埼玉県・入間市に住む、本庄規雄さん48歳。
今は実家で両親と暮らしています。
医師からは、新型コロナの後遺症の疑いと診断されました。
【本庄規雄さん】
「とにかく感覚というのではなく、頭も苦しくて何も考えられないですし、息切れがものすごくて」
「あまりの苦しさに自然と涙が出てくる」
2020年2月に本庄さんは、激しいのどの痛みや高熱など新型コロナの症状が出ました。
自宅で療養していましたが、熱が下がった後も倦怠感や体の痛みは続き、4年以上がたった今も体調は戻っていません。
本庄さんは昼間でも部屋を暗くしています。
明かりは、卓上の照明のみ。
体調を崩してから光や音に過敏になり、カーテンは閉め切ったままです。
【本庄規雄さん】
「このように動けないものですから、仕事をするどころか日常生活が困難でどうしようもなく」
以前は、輸入関連の会社を経営していた本庄さん。
体の痛みがつらくなってからは会社を休眠状態にしています。
生活費のほかに、治療費も全て実費。
今は、70代の両親の支援を受けながら生活しています。
【本庄規雄さん】
「働けないということはやっぱり死に直結しますから、私としてはとにかくコロナ後遺症の診断とか補償よりも1日も早く元の体に戻ってやるべきことができることが願い」
いま、本庄さんのように働き盛りの世代の後遺症が社会問題になっています。
【ヒラハタクリニック 平畑光一院長】
「非常に多くの方々が仕事をできなくなってきているということがある」
「もともと何か疾患を持っていた方ではないというのが一つ大きなポイント」
こう指摘するのが、東京で新型コロナ後遺症の専門外来を開いている「ヒラハタクリニック」の平畑光一 院長。
これまでに7000人以上の後遺症患者を診察してきました。
平畑院長の調査では、働く世代の患者の7割近くが仕事に影響が出ているといいます。
【ヒラハタクリニック 平畑光一院長】
「第一線で働いているような人材が結構な数、コロナ後遺症で倒れてその後、間違った管理をしてしまって、休んでしまったから頑張って取り戻さなければいけないとか、迷惑かけたから頑張らなければいけないとか、無理をしてしまってどんどん症状を重くしてしまって、ついに退職になってしまう」
「そういった方々を出さないために本当は周知が必要なわけだが、それがなされていない現状が問題」
神奈川県・横浜市に住む39歳の男性。
一日の大半を、横になって過ごしています。
【新型コロナ後遺症の男性】
「朝起きても明らかにこれは普通じゃないぞというようなレベルの倦怠感がずっと24時間365日続いているような状態で体が思うように動かせない」
男性はおととし2月、新型コロナに感染。
その時は軽症でした。
その後、コロナが陰性になってからしばらくして急に体を動かすのがつらくなり、専門医に新型コロナ後遺症と診断されました。
【男性の妻】
「ごみ捨てに行ってもらって(2階から)1階まで捨てに行って、なかなか戻ってこないなと思っていて、やっと戻ってきたと思ったら、ハーハー言いながら玄関で倒れこんでしまった」
「坂道を転げるようにあれよあれよとどんどん(体調が)駄目になっていっちゃった」
トイレに行くときは、妻の手を借りて杖を突きながら歩いています。
【妻】
「こういう状態。うそみたいなんですけど」
「ガクガク力が入らない状態」
【新型コロナ後遺症の男性】
「後ろにはちょっと動くんですけど、上にあげようとするとこれ以上どうにもならない」
男性は以前、医療関係の仕事をしていましたが、今は症状がひどいため仕事を休んでいます。
医師からは当初、3か月ほど休むように言われましたが、改善の兆しはなく、休職期間は2年に。
男性は妻のほか、小学生の長男と保育園児の長女の4人で暮らしています。
これは長男が5歳の時に描いた絵です。
お父さんとサッカーをする時間が楽しみでした。
しかし、今は以前のように動くことも、抱き上げることも難しくなりました。
【新型コロナ後遺症の男性】
「体調のいい時は、少しでも遊んであげられることがあれば、横になったままでも、コミュニケーションというところはなるべく取ってあげようと思っているが、私が元気になることが一番大事かもしれないですけど、でもやっぱり子どもを優先しちゃいますよね」
新型コロナが5類に移行してから1年。
後遺症の患者だからこそ思うことがあります。
【新型コロナ後遺症の男性】
「自分の周りの理解がないと、そこ(支援)までいけない。」
「国の方からもきちんと生活を支援するようなサポートがあれば、一人でも苦しんでいる人が減るのかなと思う」
男性は、1日も早く元のように動けるようになり、子どもと公園で遊びたいと願っています。