教員の長時間労働解消へ 部活動指導員と行政をマッチング 愛知県が新システム導入も登録に課題

テレビ愛知

公立中学校で部活動の指導にあたる教員の長時間労働が問題となっています。そこで、教員の代わりになる人材を確保しようと、愛知県が新たなマッチングシステムの運用を始めました。期待の声が上がる一方、課題も見えてきました。

愛知県内の自治体と指導員候補をマッチング「人材バンク」

中学校教員の36.6%が過労死ラインの時間外勤務

愛知県大府市の大府北中学校。サッカー部の指導を行っていた男性は…

江崎相太さん:
「大学2年生。学校に通いながら、部活動指導員をやっている」

今、部活動の指導を地域の人材や民間のスポーツクラブなどに移行する「部活動の地域移行」が推し進められています。背景にあるのが教員の長時間労働の問題です。2023年4月に国が公表した調査では、中学校の教員の36.6%が過労死ラインと呼ばれる月80時間を超える時間外勤務を行っていました。『部活動の地域移行』により教員の働き方改革が期待されています。しかし、大府市の教育委員会は…

大府市教育委員会学校教育課 籠原大祐さん:
「指導者が集まっていないというのが現状」

大府市では2025年8月までに、土日の部活動の指導をすべて地域の指導者が行う方針を掲げています。担当者によりますと、指導を行う地域の人材は100人程度必要だといいますが、4月末時点で確保できたのは3割ほど。残りは教員が指導に当たっているのが現状です。そんな中、期待を寄せるのが…

籠原さん:
「選考というところに書いてある数字が、“指導したい”とアクションをくれた人」

活用したのは、愛知県が5月1日から運用を始めた「人材バンク」です。部活動の指導を希望する人がサイトに登録することなどで、市町村を横断して学校や自治体とマッチングすることができます。大府市は開始から1週間で9人とマッチングし、すでに面談の日程調整を始めている人もいました。

籠原さん:
「9人の中に大府市内の人は1人もいなくて、半田市や知多市、名古屋市が多い。これまでにアプローチできなかった向こうからきてくれるのはすごくありがたい」

ただこの取り組み、順調とは言えない点もあります。愛知県の大村秀章知事は2週間で500人の登録を目指すとしていましたが…

愛知県教育委員会保健体育科 福井孝徳さん:
「5月10日の時点で150人が登録。もう少し伸びてくるといいかな。企業・大学に直接赴いて、人材バンクの登録の説明をして促していく」

地方都市や山間部でのマッチングは難しい 専門家が指摘

関西大学の神谷拓教授(スポーツ教育学)

専門家はこの取り組みをどう評価するのか、スポーツ教育学に詳しい関西大学の神谷拓教授に話を聞きました。

神谷教授:
「今まで、それぞれの自治体で探していたが、それだと頭うちになる。(県が)新しいやり方に挑戦したことは意義深い。ただ、一方で部活動の指導の時間に合わせられる社会人の数は限られている。地方や山間部は広域に募集したところで、問題が解決するかというと難しいのでは」

神谷さんは人材の置き換えではなく、新たな方法を検討すべきと指摘します。

神谷教授:
「ある自治体ではアスレチックトレーナーという、子どもの安全管理・トレーニングサポートの専門職を配置。アスレチックトレーナー1人が、複数の部活動を見る仕組みをつくっている。1人の大人が複数の部活動を見ることができる新しい仕組みを作らないと、指導者不足は解決に至らない」

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