井上尚弥ではなくクロフォードを“最強”に選出した米記者2人の理由「PFP戦士相手が凄いのだ」

井上尚弥【写真:荒川祐史】

リング誌が最新PFP発表

世界で最も権威あるボクシングの米専門誌「ザ・リング」は9日(日本時間10日)、階級を超えた格付けランク「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」最新版を公表し、世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)は1位に浮上。全階級を通じた世界最強ランクで約2年ぶりに再び頂点に立った。リング誌は選出の詳細も記事で公開。登場している10人のうち8人が井上を支持したが、残る2人は昨年世界ウェルター級で4団体統一したテレンス・クロフォード(米国)に投票していた。

PFPとは全17階級あるボクサーの実力を比較し、体重差がなかった場合の最強選手をランキング化したもの。海外メディアが各自で格付けしているが、リング誌のPFPが世界で最も価値がある指標とされている。

2022年6月、井上はリング誌のPFPで日本人初の1位になる快挙を達成。同8月に2位に後退し、トップ返り咲きが期待されていた。結果を伝えたリング誌の記事内では投票者のうち10人の意見が紹介されており、同誌のダグラス・フィッシャー編集長ら8人が井上を支持。残る2人がテレンス・クロフォードを支持したとされている。2年前に1位となった際は1票差だったが、今回は圧倒的支持を得たようだ。

クロフォードを支持した1人は、リング誌のアンソン・ウェインライト記者。「イノウエは1回に日本のファンを心配させたが、その後ネリをコテンパンにした」と戦いぶりを評価しつつ「私にとってはクロフォードが1位aでイノウエが1位bだ」と、僅差ながらクロフォードに票を投じたという。

もう1人のアダム・アブラモビッツ記者も「私はクロフォードを1位a、イノウエを1位bと見ている」と同様に僅差であると指摘。「でもこれでは議論にならない。間違った答えはないと思う」と迷いながらもクロフォードに投票したようだ。

アブラモビッツ記者は「クロフォードはスペンス戦以降は試合をしていないから、それは彼にとってはマイナスだ」と、昨年7月から試合をしていない事を指摘しつつも「でも、(スペンス戦には)物凄く感銘を受けた。イノウエに感銘を受けなかったわけではない。クロフォードがPFP戦士相手にやったということが凄いのだ。私はクロフォード1位に投じるが僅差だ」と説明していた。

THE ANSWER編集部

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