横浜、川崎、相模原の「独立」は「神奈川を分断」…県、パンフレットで政令市の動きをけん制 特別自治市構想巡り

特別自治市構想に対する神奈川県の見解パンフレット

 「えっ!独立?」-。政令市が道府県から独立し、権限や財源の移譲を目指す「特別自治市」構想を巡り、神奈川県は「住民目線から見て妥当でない」との見解をコンパクトにまとめたパンフレットを作成した。川崎、横浜市をはじめ、全国20の政令市が特別自治市の法制化に向けた動きを起こす中、構想が現実となった場合の課題を列挙。「神奈川県は分断でなく、連携・協調を進めていく」と明記し、全国最多の3政令市を抱える県として、政令市側の主張をけん制する内容となっている。

 パンフレットは、県が2022年3月に公表した、構想に対する見解をイラストや地図などを交え、県民に分かりやすく伝える目的で作成した。

 特別自治市の問題点として、住民代表が市長と市議会のみの一層制となり、「住民の多様な声を反映できるか疑問」と指摘。ほかに▽広域自治体として県が果たす総合調整機能への支障▽税源が集中する政令市の独立で、財源不足となる県の行政サービス低下▽政令市域にある県有施設の移転などによる費用負担の発生-を挙げた。

 こうした課題を踏まえ、構想は「県を分断するもの」と主張。「人口減少社会が到来する中、県と市町村が一層、連携・協調しながら行政課題の解決に取り組むべきだ」としている。県広域連携課は「政令市が構想のメリットを訴える中、住民目線で県の姿勢を発信するツールとしたい」としている。

 6千部作成。県のホームページからダウンロードできるほか、県庁の県政情報センターや各地域県政総合センターで入手できる。 

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