海洋深層水の取水再開 入善町、閉塞部切断し応急復旧

ふさがった部分を切断し、取水が可能になった敷設管(入善町提供)

  ●本復旧、来年末目指す

 入善町は10日までに、能登半島地震で取水管が破断した海洋深層水施設の応急復旧を終えて取水を再開し、利用企業への供給を始めた。沖合約2キロ、水深220メートル付近でねじ切れて管が閉じていた取水管の先を切断して開口、取水できるようにした。

 10日の町議会全員協議会で町側が報告した。取水管は2001年敷設の既設管、22年敷設の新設管の2本あり、いずれも地震で破断し、取水口部が埋まっていた。今回は新設管を応急復旧した。計画通り、水温5度の海水を1時間当たり約180立方メートル取水できているという。

 4月30日に試験的に取水・送水した上で、パックご飯製造のウーケや入善漁協、海洋深層水かきセンターなど利用企業・団体へ水を送っている。

 町は取水管2本を新たに敷設し直す本復旧については、来年末の完了を目指して実施設計を進めている。来年末に完了すれば、ウーケの工場増設や三菱商事とマルハニチロの合弁会社によるサーモンの陸上養殖にも間に合うという。

 笹島春人町長は、既設管について農水省の災害復旧支援のめどが立って富山県との詰めの協議に入っているとした。新設管に関しては「内閣府への再申請が必要で、県と協議し、早急に方針を固める」と述べた。

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