思い出したくない記憶をおいしい記憶にぬり替える方法とは?【70歳からおいしく栄養がとれる食事のくふう】

思い出したくない記憶をおいしい記憶にぬり替える方法【70歳からおいしく栄養がとれる食事のくふう】

食事の好みには、昔の記憶が関係している

この本を手にしているかたの中には、戦中、戦後の時代を経験しているかたもいるかもしれません。食べ物が乏しい時代を生き抜き、ひとつひとつの食品に思い入れがあるかたもおられるでしょう。訪問先でも「戦争中、こればっかりだったからもう食べたくない」と言い、サツマイモやカボチャを食べたがらないかたもいます。食と記憶は結びつきやすいものですから、その食材を見ていると、昔の思い出したくない記憶が蘇ってくるのはしかたありません。サツマイモもカボチャも効率よくエネルギーをとれるすぐれた食材です。それゆえに、食糧難のときにも、少量でおなかを満たすのに役立ってくれたのですね。

そんな栄養価の高い食材は、今も上手に取り入れたいものです。思い出したくない記憶をおいしい記憶にぬり替えることもできます。最近は品種改良も進み、素材そのものがおいしくなっていることも。この本でも、サツマイモやカボチャでかんたんにできるおやつを紹介しています。ぜひ作ってみてください。

今のシニア世代の特徴でいえば、給食の脱脂粉乳が牛乳に変わったときのことを鮮明に覚えているかたも多いでしょう。私たちのメンバーでも経験している者がいますが、「あのとき飲んだ牛乳のおいしさは忘れられない」といいます。牛乳は1日に1杯は飲んでほしいのですが、おいしくて栄養があるからと水代わりに大量に飲んでいると、カロリーのとり過ぎにもなりますし、うまく消化できずにおなかの調子が悪くなることもあります。

親の食事を用意されているかたで「なぜかこの食材は嫌がる」と困っている場合は、食材に対するイメージが関係しているかもしれません。まず話を聞いてみて、理由を知り、食べる方法を一緒に探しましょう。

【出典】『70歳からおいしく栄養がとれる食事のくふう』
監修:特定非営利活動法人 京都栄養士ネット 日本文芸社刊

監修者プロフィール
訪問栄養食事指導で地域の皆様の健康と栄養をサポートする管理栄養士のグループ。メンバーは京都府栄養士会の会員。2018年9月に認定栄養ケアステーションの認定を受け、京都府全域で訪問栄養指導を中心とした活動を行っている。2021年10月より機能強化型栄養ケアステーションに移行認定。在宅で療養されている方を訪問して、その方にあった食事の作り方やどの程度栄養量が摂れているか何を補えばよいかなどを、その方の嗜好や生活環境を大事にしながら、一人ひとりその人にあった形で提案し、実践してもらえる支援を目指し、多職種と連携し活動している。

70歳を過ぎ、「食が細くなった」「料理も面倒」「元気が出ない」と感じている方は、もしかしたら「低栄養」が原因かも?日々の食事は、健康な体をつくります。シニアになると体の変化に合わせて、必要な栄養もとりかたも変わってきます。この本では、訪問栄養指導の栄養士チームが「手軽」に「おいしく食べて」、「健康寿命をのばす」とっておきの食事のくふうを紹介します。品数が豊富じゃなくても、量が食べられなくても、料理が苦手でも、身近なものから栄養がとるコツがあります。・いつもの食事にちょい足しするだけ!手軽にたんぱく質が補える○○!・30品目用意しなくても、お皿は3つでいい・「食べ順」で栄養の取り逃しを防ぐ・やめられない菓子パンを○○に置き換えてみたら栄養がアップ!・全部手作りじゃなくていい!スーパーやコンビニで手に入るお助け食材ベテラン栄養士が現場で得た知見から生まれた、すぐに使える超実用的な栄養本です。1人暮らしでも、ご夫婦でも、親御さんの食事や栄養状態が気になるかたにも役立つ知識が満載です。3年先、5年先、10年先の健康な身体をつくる「栄養」がとれる食事をはじめましょう!

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