お酒の量はアルコールの濃度ではなく〇〇で考える!? お酒を飲まない人もぜひ知りたい「自分に合った飲酒量」のこと #Omezaトーク

By FYTTE 編集部

楽しい食事や会話のおともに、お酒をたしなむ人も多いのではないでしょうか。ところがついつい飲み過ぎてしまうと体に害を及ぼすことも。ふだんはあまりお酒を飲まない私ですが、今回、ビールの老舗でもあるキリンが5月から団体向けに常設している「適正飲酒セミナー」を、ひと足早く受講する機会を得たところ…とても学びがあったので、ピックアップしてお伝えします!

大手酒類メーカーであるキリンが「適正飲酒セミナー」の常設を決めたのは、お酒の有害摂取の根絶に向けて適正飲酒推進にとり組むことで、こころ豊かな社会を実現したいという思いがあるからとのこと。「有害摂取」とはまた、かなりハードな響きですが、お酒のどのあたりが「有害」で、どこまでなら「楽しく飲める」範囲なのか、知っているようでいて、案外知らないものなのではないでしょうか。

「適正飲酒セミナー」の講師を務めるのは、キリンアドコミュニケーションズ/キリンホールディングスの後藤沙耶香さん。今回は「お酒に酔うとは?」「お酒のリスクとは?」「お酒を楽しむには?」という3つの項目を柱として、お酒とのつき合い方を教えていただきました。

知っているようでいて知らない…「お酒に酔う」ってどんな状態?

「日本の酒税法では、アルコールを1%以上含む飲みもののことを『酒類』と定義しています。これがいわゆる「お酒」です。そしてお酒に含まれる『アルコール』とは酵母によって糖を発酵することで生まれるエチルアルコールのことです。

お酒は飲むと胃と小腸で吸収され、そのあと血液にのって全身を巡り、やがて肝臓で二段階で分解されます。まず、アセトアルデヒドに分解され、次に酢酸へと分解され、心臓や筋肉を通って炭酸ガスと水になります。

アルコールは血液によって脳へも運ばれます。そして脳の神経細胞に作用し、感覚を麻痺させます。これが『酔った状態』と言われるものです。酔いの程度は、血液中にどのくらいアルコールが巡っているのか(血中アルコール濃度)によって6段階に分かれます」(後藤さん)

体重60kgの、アルコールに強い男性の場合の例。『350ml1本』など、6つの段階の上に書いてある数字は、アルコールの量の目安をビールの量で表したもの。

「ほろ酔い期」よりも酔いの程度が進んでしまうと、適正な飲酒とは言えなくなってきそうですね。では、どのくらいの範囲までが適量と言えるのでしょうか。

お酒のリスクは「アルコール濃度」ではなく「純アルコール量」で考えよう

「先ほど見た『酔いの程度』の図からもわかるように、お酒はつきあい方によっては楽しみにも害にもなるものです。では、適正な酒量はどのように測ればよいのでしょうか。ここで注目したいのは、『純アルコール量』です。

『純アルコール量』は飲酒量×アルコール濃度×比重0.8で算出できます。たとえばアルコール濃度5%のビールを350ml飲んだときの純アルコール量は、『350×0.05×0.8=14』で、14gです。ビールメーカー各社によるグラム表示に向けた動きもあり、お酒によっては パッケージにこのような純アルコール量の表示があることもあります。

2024年2月に厚生労働省が公表した『健康に配慮した飲酒に関するガイドライン』では、生活習慣病のリスクを高める飲酒量は、純アルコール量に換算して男性40g以上、女性20g以上としています。ただし、これはあくまでも参考値であって、この量なら飲んでいいということにはなりません。ちなみに1日当たり男性20g、女性10g程度の摂取で『ほろ酔い』程度になります。

量だけでなく、『お酒の飲み方』も大事です。たとえば一度にたくさんのお酒を飲んだり、相手に飲酒を強要したりするのは危険な行為です。短時間に多量のお酒を飲むことで、一気に『昏睡期』へ行くこともあり、アルコール中毒を起こす可能性があります。

『お酒が体に及ぼす影響は、個人の体質によっても、その日の体調によっても変わってくる』というのも、忘れてはならないポイントです。まず、遺伝による違いがあります。日本人などのモンゴロイド系の人々は、ヨーロッパ系やアフリカ系に比べてお酒に弱いと言われています。次に性差です。男性よりも女性のほうが弱いと言われています。年齢、そしてもちろんその日の体調によっても、影響の受け方に違いが出てきます。

アルコールを分解する酵素が非常に弱い人は、ごく少量の飲酒でも、強い動悸が引き起こされたり、急に意識を失ったりといった危険があります。体内からアルコールが抜ける時間も、最も早い人と遅い人では、4~5倍程度の差があると言われています。お酒を飲む、飲まないは個人の選択です。無理に勧められた場合は、あいまいに濁さずに断る勇気をもちましょう。お酒を飲めないことや、お酒を飲まないことは、悪いことでも空気を読めないことでもありません」

最後にキリンの推奨するお酒の飲み方“SLOW DRINK”について教えてもらいました。

心地よくお酒を楽しむには?~SLOW DRINKのすすめ~

講師の後藤沙耶香さん

「お酒とつき合う上で、自分が心地よく、楽しく飲める量を知ることが大事なのはもちろんですが、お酒の場では、お酒を飲める人も飲めない人も個性を尊重し合い、豊かな時を過ごすことが大切だと考えます。そこで、おすすめしているのが『SLOW DRINK』です。

だれかとゆっくり語らいながら飲めば、自然とゆっくりとした飲み方になります。また、料理と一緒に味わうことで、飲むペースもスローになり、空腹で飲むときよりも体への負担が少なくてすみます。時には水やノンアルコールをはさんで、自分に合った量を程よく楽しむのも大切ですね。お酒を飲みながら過ごす時間を、ゆっくりと味わう、そんなお酒の楽しみ方、『SLOW DRINK』を通して、みなさんに素敵な時間を味わってほしいと思います」

いかがでしたか。今回のようなセミナーによって、多くの人がお酒についての正しい知識を得られれば、お酒を交えて過ごす時間が、より魅力的になるように感じます。「適正飲酒セミナー」では「アルコール体質チェックパッチ」も行います。こうしたパッチテストで、自分の体質をチェックしてみるのもいいですね。私も自分の体と相談しながら、時にはお酒を片手に、いい時間を過ごしたいと思います。(編集まりりん)

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