「愛人関係につきものや」〝紀州のドン・ファン〟元妻の詐欺公判で50代男性が突如叫ぶ

和歌山地方裁判所に出廷した須藤被告の傍聴絵(絵・上さち子)

「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家の故野崎幸助さん(77=当時)に対する殺人罪などで起訴された元妻・須藤早貴被告(28)が、事件前に別の男性から現金約2980万円をだまし取ったとする詐欺罪の初公判が10日、和歌山地方裁判所で行われた。

同被告は、2015年から16年にかけて3回にわたり、札幌市の男性に学校の学費や壊した備品の弁償費用、海外留学の準備金、美容コンテストでモデルの髪を傷めた弁償金が必要などと言い、2980万円以上をだまし取った罪に問われている。詐欺罪は野崎さんに対する殺人事件とは分離して審理される。

同日11時に行われた傍聴抽選券の配布場所に集まったのは66人。9割以上が男性だった。

須藤被告は腰まで伸びた黒髪に、黒のロングワンピースの上に黒のカーディガンを羽織り、白マスク姿で妖艶な雰囲気を漂わせていた。同被告が法廷に現れると傍聴席からは「おお…」という声が漏れた。

警察が訴状を読み上げると、須藤被告は「金を受け取ったのは事実ですが、(被害男性は)私の体をもてあそぶために(金を)払った」と主張。弁護人は詐欺罪の成立を争うとした。

その後、裁判は粛々と進み、休憩をはさみ午後3時に再開。全員が裁判官に一礼し、席に座った際、ちょっとしたハプニングが起こった。傍聴席にいた50代の男性が法廷の真ん中に立ち、裁判官に向かって「愛人関係につきものや。早貴ちゃん頑張れよー!」と叫んだのだ。法廷は一時騒然とし、男性は職員に連れ出されて裁判は続いた。

30分後に閉廷したが、多くの傍聴人がなかなか退廷しようとせず、職員が退廷を呼びかけるなどしていた。

次回公判は5月17日。

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