生成AI技術で江戸小紋の図案開発に成功、文京学院大学と武蔵野大学が共同研究

文京学院大学経営学部の経営史研究ゼミと武蔵野大学データサイエンス学部のTrans Media Tech Labは、生成AI関連技術を活用し、江戸時代に盛んになった染物・江戸小紋の新作図案開発に成功した。反物の製品化に向けて準備を進めている。

文京学院大学によると、共同研究では江戸小紋の古い作例から流行した柄の特徴を調べ、これまで暗黙知にとどまっていた図案の制作理論を体系化した。その理論に従ってデザインモチーフを自動で配置する独自のアルゴリズムを生成AI関連技術で見い出し、新作の図案開発に成功した。

この成果を生かして図案を一から考案した反物の製品化を目指し、東京都伝統工芸士と準備を進めている。江戸小紋の新作商品発表会は29日に開催する予定。

江戸小紋は型染めによる染物で、遠目に見ると無地のような極めて細かく小さい柄が特徴。江戸時代に諸大名が着用した裃の模様づけを発祥とし、庶民に広まった。現在は主に東京都新宿区、世田谷区、練馬区に工場がある。

経済産業省や東京都から「東京染小紋」として伝統的工芸品に指定されているが、図案家が激減しているうえ、伝統的な技術は親方から弟子へ口頭で伝えられるのが一般的。緻密で繊細な図案にもかかわらず、教本がなく、図案の考案が難しいため、なかなか新作が生まれない状況に陥っている。

参考:

【文京学院大学】日本初※生成AI関連技術による新作「江戸小紋」図案の開発 ~図案を一から構想し反物の製品化を目指す~(PDF)

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