今田美桜が語るブレイク前の2つの転機と心にしみた大物俳優からの言葉「30点で良いんだ」

今田美桜 撮影/冨田望

いま勢いのある若手俳優を代表する一人、今田美桜。その活躍の場はドラマ、映画などでの演技に留まらず、多くのCMにも出演中で、もはやその存在感は国民的といってもいいだろう。来年度前期のNHK連続テレビ小説『あんぱん』のヒロイン・朝田のぶ役も決まった。現在放映中のドラマ『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ系)でも主人公・花咲舞を好演。そんな今田美桜にとっての「THE CHANGE」を聞いてみた。

この日の取材はテレビ局内の大スタジオで行われた。その広さゆえ、閑散とした空気でどこか寒々とした感もあった。「よろしくお願いしまーす!」との、明るく元気な今田さんの挨拶はたちまち、その場の空気を変えてくれた。福岡出身の今田さんは10代の半ばに地元でスカウトされ、10代の終わりには上京を果たした。自身の中で大きな転機はふたつあったという。

「高校を卒業して、すぐに地元を出たいと思っていました。でも、東京に出るのに何から始めていいのかとか分からな過ぎて……。一旦、上京するのを辞めようと思ったんです。でも、地元の福岡にいる時に今の事務所の社長に声を掛けてもらって、そのことがきっかけで上京を決めました」

ひとつ目の転機は福岡からの上京

福岡からの上京がひとつ目の転機だった。

「不安とかが全く無かったかといわれると……、正直ありました(笑)。でも、当時はまだ19歳だったし、とにかく一旦は社長に身を委ねるというか“付いていくしかないない!”みたいなところもあったと思います。そういう意味では不安というよりも『頑張りたい』という気持ちの方が大きかったですね。社長をはじめ、事務所のスタッフの皆さんがすごく親身になってサポートして下さったので、そこに甘えながらも、“みんなの期待に応えなきゃ”という気持ちもあり、東京での生活に期待していたところはありました」

上京し本格的に俳優業をやっていく中で、ふたつ目の転機になったのが学園ラブコメ・ドラマ『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(18年、TBS系)に参加したことだという。このドラマに出演し、多くの人に自分を知ってもらったことが大きかった。

「上京したばかりの頃は“頑張らなきゃいけない”とか“結果を出さなきゃいけない”という気持でいっぱいでした。オーディションを受けても落ちるし、なかなか決まらなかったんです。
そんな中で、『記憶』というドラマへの出演が決まり、中井貴一さんとご一緒させていただくことになったんです。若年性アルツハイマーと診断された弁護士の話で、中井さんがその弁護士役で私はパラリーガル役でした。その時に“お前はそれでいいんだ。30点で良いんだ”って仰って下さった言葉が強く印象に残っています。30点で良いっていうのは、あんまり気張らずにそのままでいいんだよって意味だったと思うんです。
私がすごく緊張していたから、そんな私の胸中を察して下さっての言葉だったのではないかなと思います。そして、この撮影からあまり時間を置かずにして撮ったのが『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』でした」

今田さんは『花のち晴れ』で注目を集め“2018年ブレイクNo.1女優”と呼ばれるようになった。同時にInstagramのフォロワー数が、放映中に100万人を突破するという快挙を成し遂げ、誰もが”国民的女優“として認めるまでの変化を遂げたのであった。

今田美桜 (いまだ・みお)
1997年3月5日、福岡県出身。2015年に映画『罪の余白』で映画初出演。2018年に放映されたドラマ『花のち晴れ~花男 Next Season』(TBS系)に出演しブレイク。その後、ドラマ『3年A組 今から皆さんは、人質です』(日本テレビ系)、『いちばんすきな花』(フジテレビ系)、映画『わたしの幸せな結婚』、『東京リベンジャーズ』等といった話題作に出演。2025年度前期のNHK連続テレビ小説『あんぱん』で主演(ヒロイン)・朝田のぶ役を演じることが決定している。

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