「音楽に何ができるのか」“やってみたい!”を叶えるオーケストラと共に

若い世代に音楽でつながる楽しみを伝え続ける、音楽監督の木許裕介さん。

「東日本大震災の2年後に、宮城県石巻市の体育館でオーケストラを率いて演奏しました。お客さんはほんの数人でしたが、終わった時に『心に響いた』と涙ながらにお話して下さったのを聞いて、こういう演奏をし続けようと誓いました。

いま・ここにしかない世界を共に立ち上げ、深く強い“共振“を起こす指揮者でありたい。そして同時に、音楽の可能性を追求していきたい。音楽と地域創生がどう結びつくか、国際交流にどのように寄与し、子どもたちの教育にどうつながるのか。

音楽のクオリティを磨き続けるのはもちろん、さまざまな角度から、音楽に何が出来るのかを問い続け、実践していきたいと考えました」

トライできる環境をつくる

東京大学と同大学院でフランス文化史・比較芸術を専攻しながら、立花隆氏の元でジャーナリズムを学んでいた木許さん。

同時に日本屈指の指揮者である村方千之氏に師事し、指揮者になる道を選んだ。

2018年にポルトガルの指揮コンクールで優勝した後、音楽を通じて子どもたちが自らの人生を切り開く力を育むことを目指す「エル・システマ ジャパン」で2020年から指揮者、2021年から音楽監督を務めている。

「エル・システマ」とは南米ベネズエラで始まった、子どもたちに音楽教育を提供する取り組みだ。

福島県相馬市では、小学生から高校生までの70人ほどが「相馬子どもオーケストラ&コーラス」に参加。

初めてタクトを振った小学生もいる。

小学生にコンサート本番の指揮を一曲託した木許さんは「指揮者の余計な動きで音楽が乱れることもあるから気を付けて」などとアドバイスを行う。

指揮に挑戦した小学6年生は「指揮者をずっとやってみたくて、緊張したけど楽しかった」と話す。

また、ビオラとクラリネットを演奏する高校3年生は「学校とは違う自分の居場所がある」と充実したひと時を振り返る。

「やってみたい」を音楽で叶えよう!

木許さんは「みんなで音楽をするのはとても楽しくて、かけがえのないこと。

楽器を弾いてみたい、オーケストラに入ってみたいと思った時にトライできる環境をつくっていくことをこれからも続けたいです」と語った。

SDGs

SDGsとは、2015年9月の国連サミットで、全会一致で採択された「持続可能な開発目標」。

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