廃棄される花、温泉熱でドライフラワーに ロス削減啓発へ別府市の生花店で販売【大分県】

温泉熱で乾燥させたスイートピー=別府市の県農林水産研究指導センター農業研究部花きグループ
温泉熱で乾燥させたドライフラワーの花束。高温で一気に乾燥させることで花の色は鮮やかなまま
温泉熱で乾燥させたドライフラワーを販売する「華つねまつ」の恒松宗典社長(左)と朋美さん=別府市若草町

 【別府】「フラワーロス」の削減につなげたい―。県農林水産研究指導センター花きグループ(別府市鶴見)と生花店「華つねまつ」(若草町)が協力し、廃棄される花を温泉熱でドライフラワーにして販売している。温泉熱のユニークさとロス削減への意識の広がりもあり、じわじわと人気を集めている。

 同グループによると、生花店の売れ残りや、市場で規格外と判断された花は廃棄されている。国内では生産段階で2~3割、生花店で仕入れた花の3~4割が廃棄されているという。

 同グループがドライフラワーの製作を始めたのは約2年前から。施設内には120度の蒸気を噴出する泉源があり、通常は暖房や土壌の消毒などに使用している。試験研究のために育てたスイートピーを、温泉熱を活用した暖房器具の上に置いたところ、1日でドライフラワーに仕上がったという。

 高温で一気に乾燥させることで、花や茎の鮮やかな色が残るのが特長。1~2週間ほど干して作る通常のドライフラワーと比べ短時間で仕上がるメリットもある。

 同グループはフラワーロス削減の啓発につなげようと、試作したドライフラワーの販売協力を同店に依頼。22年に販売を始めた。店頭にフラワーロスの課題を紹介するポップを掲示し、プチギフトや名刺と一緒に添えることを提案しながら販売している。ロス削減への意識が高い人たちが購入していくという。

 「温泉熱を活用するドライフラワーは、湯量が豊富な別府ならでは。生産者や生花店などで実用性が高いと判断されれば、本格的な研究につなげたい」と同グループ。同店は「花が廃棄される現状に心を痛めている。フラワーロスについて知ってもらうきっかけにしたい」と話している。

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