パリ五輪へ県勢奮闘 ハンド笠原、バド渡辺・東野組が練習公開

2度目の五輪出場に向けて、強化合宿に臨む笠原(中央)=東京都・味の素ナショナルトレーニングセンター

 パリ五輪の開幕まであと77日。福島市出身の笠原謙哉(35)=聖光学院高卒=が候補選手のハンドボール男子日本代表と、パリ五輪出場を確実にしているバドミントン混合ダブルスの渡辺勇大(26)、東野有紗(27)組=BIPROGY、富岡高卒=が10日、それぞれ東京都内で練習を公開した。笠原は代表入りを懸け、渡辺、東野組は五輪でのさらなる飛躍に向け、奮闘を続けている。(佐藤智哉)

 ハンド笠原「サバイバルが始まった」

 「練習の強度も上がってきて、サバイバルみたいなのが始まったなと感じている」。ハンドボール男子日本代表候補の笠原は、東京大会に続く2度目の五輪出場に向けて正念場を迎えている。6日から東京都の味の素ナショナルトレーニングセンターで始まった強化合宿に参加しているのは選手24人。このうち、パリに行けるのは14人で、生き残りを懸けてしのぎを削る。

 パリ行きの切符は限られているが、笠原には「世界基準」で武者修行をしてきた自負がある。1勝4敗の11位に終わった東京五輪後に、11年間プレーした日本リーグのトヨタ車体を退団。フィジカルやプレーの強度を高めるために、当時33歳とベテランの域に達しつつある年齢で選んだのが、世界ランキングで上位を占める欧州のリーグへの挑戦だった。

 3年間でアイスランドとポーランドのチームでプレー。身長196センチの笠原を持ってしても「大きくて速い」という選手を相手に戦い「過大評価でもなく、本当に全ての面でレベルアップした。技術やシュート、ディフェンスもそう。何かが衰えたという部分はない」と、安定した環境を捨て、つかんだものが大きかった。

 代表入りへ、自信と手応えを感じつつも、今年2月には代表監督が突然辞任した。カルロス・オルテガ新監督は10日に合流したばかりで、笠原は「前の監督の時に得た信頼とかは全く関係なくなった。代表入りへ、ゼロからアピールが必要だ」と現状を冷静に受け止める。

 日本ハンドボール協会によると、6月上旬には代表が決まる予定だ。「今までの経験を全て出して、毎日、ファイトするしかない」。15日で36歳となる最年長のベテランが、自らの価値を示して、吉報を待つ。

 バド渡辺・東野組 連続メダルへ「精度上げる」

 バドミントンの渡辺、東野組は3カ月を切った本番に向けて「個人練習に時間を割いて、自分たちのレベルアップのための練習が積めている」と充実感を漂わせた。

 東京五輪では混合ダブルスで日本勢初の銅メダルを獲得し、最新の世界ランキングでは3位につけている。2大会連続のメダル獲得に向けて、渡辺は「プレーの精度を上げることが課題」と強調。この日は何度もコートの隅を狙い繰り返し打ち込む姿があった。

 一方の東野は、前衛でのプレーの選択肢を増やすことに取り組んでいるとし、「癖や展開を相手に読まれてしまっている部分もある。柔軟に相手に対応できたら、五輪でもいい結果が出ると思う」と自信をにじませた。

練習を公開した渡辺、東野ペア=東京都・有明スポーツセンター

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