【大盛況】日本で唯一“高校生が運営”する水族館がリニューアル! 怒濤のオープン初日に密着

全国で唯一、高校生が部活で運営する水族館として知られる愛媛県立長浜高校の「長高水族館」がリニューアルした。1999年から始まった25年にわたる歴史の中で初めてとなる一大プロジェクト。怒濤(どとう)のオープン当日に密着した。

150種2000匹超の生き物と出会える

4月20日、長浜高校の水族館部の生徒たちが手掛ける「長高水族館」が移転し、リニューアルオープンした。広さはこれまでの3倍で、150種類・2000匹を超える生き物と出会える。

入り口すぐ近くにあるのは「伊予灘エリア」。

今回の移転の目玉となる幅3メートルの大きな水槽が新たに登場し、海域に住むサメやタイ、ヤドカリやカニなど15種類ほどの生き物が展示されている。

1階を奥に進むと「宇和海・沖縄ルーム」がある。竜宮城の世界をイメージして作られ、暖かい海に住むサンゴたちと色とりどりの魚たちの競演を楽しむことができる。

その向かいにはあるのは「クラゲコーナー」。光に照らされぷかぷかと浮かぶクラゲは神秘的、まさに海の宝石箱だ。

2階の「肱川エリア」には、学校の近くを流れる肱川の流域に生息する20種類ほどの生き物が展示されている。

歴史上初の一大プロジェクト

この移転リニューアルは、1999年から始まった長浜高校水族館部の25年にわたる歴史の中で、初めてとなる一大プロジェクトだった。

生徒たちは、3月から12個の水槽と展示する魚たちを移し替えていく引っ越し作業に取り組み、手狭になっていた長浜高校の校舎内から、学校に隣接する長浜保健センターへの移転を完了させた。

そして、4月20日午前9時、移転して初めての公開日を迎えた。水族館部を率いる西岡春陽部長も少し不安な様子だ。

長浜高校水族館部・西岡春陽部長(3年生):
部長が色んな公開日の運営とかを考えているので、大きなミスをしたらいかんなというのを感じています

展示コーナーでは、生徒たちがそれぞれの持ち場で準備に追われていた。そんな中、クラゲコーナーはなにやらバタバタしているようだ。

長浜高校水族館部・津田七羽さん(3年生):
やばいですほんとに。水槽が全然準備できてないし、水合わせ(塩分濃度の調整)も終わってないし。1日持ってくれたらいいんですけど、途中で死んじゃったりとか、形が崩れちゃったりしたらお客さんに申し訳ないので…

一般公開日には、まだ入学して1週間の1年生もスタッフとして加わった。
受付を担当するのは、兵庫県出身の佐藤奈々美さんだ。

長浜高校水族館部・佐藤奈々美さん(1年生):
水族館部があるというので来て、魚についてもっと知りたいなとか、もっと好きになりたいなと思って神戸から来ました。初めての公開日なので緊張しているんですけど、精いっぱい、一生懸命がんばります

オープン15分前。まもなく一般公開スタートだ。続々とお客さんが集まってきて、入り口の前には人だかりができていた。

宇和島から来たお客さん:
前に1回来たことがあって、学生さんがすごく元気にされてて、もう1回来たいなと思って。学生さんが説明が上手なので、そこに注目したい

オープンを待つ親子からも「どんな風になっているのか期待してます。すごく楽しみです!」と期待の声が上がっていた。

ついに一般公開スタート!

そして、一般公開がスタートした。1年生の佐藤さんは受付にて、堂々とした接客でお客さんを出迎えた。

長浜高校水族館部・佐藤奈々美さん(1年生):
付箋は一番水槽がいいなと思った水槽にお貼りください。シールは一番対応が良かったなと思ったスタッフにお渡しください

オープン直前にクラゲコーナーの準備で慌てていた津田さんも、何とか間に合ったようだ。

長浜高校水族館部・津田七羽さん(3年生):
無事にクラゲ水槽も完成できて、いっぱいお客さんも来ていただいてすごくうれしいです。お客さんに楽しんでもらうのが一番なんですけど、私たち高校生も楽しんで解説とかできたらなと思います

各コーナー、滑り出しは順調の様子だ。新しく・広くなった水族館で悠々と泳ぐ生き物たちの姿に、お客さんも夢中だ。

そして、長高水族館の魅力といえば、生徒たち自らが行う“解説”だ。移転して初めての一般公開とあって、みんな熱がこもっている。

サンゴ大好き・中西煌星さん(2年生):
頭を下に見て横じまが縦じまになるじゃないですか。これがタテジマキンチャクダイの名前の由来なんです。子どものころはこんな感じ(うずまき模様)なんです

解説を聞いていた子どもは「質問に合わせてクイズとかも出してくれて、聞いててどんどん聞きたくなりました」と楽しそうだ。

サンゴ大好き・中西煌星さん(2年生):
うれしいなぁ!この部活に入っていると、やっぱり人と話すことが楽しくなってきて。子どもさんもかわいいですしね。どんどん説明したくなるっていう欲が出ちゃうんですよ

続いてフグの水槽は、同じく2年生の大西寅ノ介さんが解説を担当。

フグ担当・大西寅ノ介さん(2年生):
僕はこのサザナミフグという全身に毒があるフグの担当をしています。この子、僕のものすごく好きなポイントが1個ありまして、今少し後ろ姿になってしまっているんですが、正面から見るとだるまみたいなコロンとした表情をしているんですよ。本当に必見な表情ですので、ぜひご覧いただけたらなと思います

スムーズに運営できるか心配で、当日朝から館内を歩き回っていた西岡部長も、盛況ぶりに笑みがこぼれる。

長浜高校水族館部・西岡春陽部長(3年生):
思っていたよりうまくいっている感じがして。お客さんの笑顔もたくさん見られたし、結構満足しています

今回の一般公開には400人が訪れ、移転後初の一般公開は大盛況のうちに幕を閉じた。

親子で訪れたお客さん:
すごく充実していました。今回リニューアルということで見たんですけど、結構広くて見ごたえもあって楽しかったです

子どもも「ドチザメがかわいかった」と満足そうだ。

「フグとかクラゲとかかわいかったです」と話す女の子は、長浜高校に行きたいのだという。これからの目標は?

女の子:
魚とかの知識を増やしていくことですかね。魚とかをいろいろ育ててみたいです

「うまくいったのは部員みんなのおかげ」

午後4時30分、怒涛の初日が無事に終わった。

水族館部の顧問・重松洋先生は「結論から言うと、君たち最高でした。100点!拍手!」と生徒たちを激励した。

長浜高校水族館部・西岡春陽部長(3年生):
公開日がうまくいったのは部員みんなのおかげかなと思ってます。「1人じゃないみんながいるからがんばれる」、これは僕が小学4年生の時に考えた人権標語なんですけど、本当にその通りだなと思って、過去の自分を振り返ってしみじみしてました

2024年度中には、展示エリアがさらに拡大する予定だ。
新たな物語が始まったばかりの長高水族館、まだまだ進化するのでご期待あれ。

一般公開は毎月第3土曜日に行われている。
完全予約制で、公開日の1週間前から長浜高校のウェブサイトで予約を受け付けている。

(テレビ愛媛)

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