犬に『カメラのフラッシュ』はどれぐらい危険?失明の可能性はある?

「カメラのフラッシュ」で犬が失明!?

以前、『フラッシュを使ったカメラ撮影で、犬が失明する』と、SNSで話題になったことがあり、犬の飼い主や獣医師、動物の眼科専門の医師などによる様々な意見が飛び交いました。

愛犬の写真を撮るとき、カメラのフラッシュは使いますか?

私は「カメラのフラッシュで犬が失明」と話題になっていたことを知っていたため、現在暮らしている愛犬たちには使ったことがありません。

しかし、子供の頃に暮らしていた愛犬たちには、カメラのフラッシュを使って写真を撮っていたかもしれません。

実際、カメラのフラッシュを使って犬を撮影すると失明するというのは事実なのでしょうか。

カメラのフラッシュで犬が失明する可能性はどれくらいあるのか、犬にカメラのフラッシュはどれくらい危険なのか、様々な意見をもとに一緒に考えてみましょう。

犬に「カメラのフラッシュ」を使用する危険性

犬の網膜には「タペタム」という反射板があることをご存じでしょうか。

犬の目が暗闇の中で光って見えることがあるのは、タペタムが光を集めて反射するからなのです。犬の目にはこのタペタムがあることによって、網膜に光がより多く到達するという仕組みになっているのだそうです。

犬にカメラのフラッシュを使うと、強い光が放たれますよね。その強い光が網膜に多く到達すると、障害を起こす可能性があるのではないかとされています。

犬がカメラのフラッシュで失明する可能性

動物の眼科専門の医師は、『カメラのフラッシュが犬に失明を引き起こすという化学的データは私が知る限りありません』としているようです。

また、『1回のカメラのフラッシュのみで、犬の目に深刻なダメージを与えることはまずない』としています。

ちなみに、動物の眼科専門の医師によると、犬の目の検査を行う際には、目にフラッシュを当てて検査しているのだそうです。フラッシュを使った検査によって、犬の目にトラブルが起きたことはないとしています。

私が知る犬の目の検査には、網膜や神経に異常がないかを評価するための「網膜電位図検査」というものがあります。

網膜にフラッシュを当てて刺激することで網膜の細胞の活動を評価する、という検査です。この検査で犬が失明したという話は聞いたことがありません。

とはいえ、犬の目に強い光を長時間照射すると、「網膜に障害が起こる」ということが、犬だけではなく他の動物でも報告されているそうです。

例えば、レーザーポインターやLEDなど強い光は避けた方がよいでしょう。

まとめ

カメラのフラッシュで犬が失明することはない、と言っても過言ではないでしょう。カメラのフラッシュで犬が失明した、というデータもおそらく存在しません。

「ピカッ!」と強い光が一瞬だけ放出されるカメラのフラッシュを1回使用した程度では、犬の目や視力に深刻なダメージを与えることはないでしょう。

しかし、カメラのフラッシュを犬はどのように感じるでしょうか。タペタムの存在もありますし、犬と人の目の構造は異なるため、身を持って知ることはできませんが、不快に感じているのではないかと考えることができます。

愛犬をカメラで撮影するときは、フラッシュを使用する必要のない明るい場所で撮影するとよいと思います。

どうしても暗い場所で撮影したいときは、カメラのフラッシュを使用するのではなく、懐中電灯やスマートフォンのライトを当てるとよいのではないでしょうか。

ただし、強い光を犬に向けること、犬の目に直接当てることはNGです。とくにスマートフォンのライトは、目が眩むほど明るく強い光です。地面を照らす程度にとどめましょう。

(獣医師監修:寺脇寛子)

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