河合優実 電撃ネットワーク・南部虎弾さんの“不適切なほど過激な芸”を存続希望「アングラなアートと日本のお笑いが合体している」

河合優実さんが、『ザ・ノンフィクション「芸に命をかけた人 ~南部虎弾と妻の約束~ 前編」』(5月12日14時~/フジテレビ※関東ローカル)の“語り”を担当。ナレーション収録後の河合さんへのインタビューとともに、ナレーションの一部を先行公開します。

【写真】『ザ・ノンフィクション』で“語り”を担当する河合優実

また、4月28日に放送された「たどりついた家族3~母の願い 3度目の春~」が、5月19日までTVerFODで無料配信中です。

危機を救ったのは妻がくれた腎臓…「生涯現役」芸人と妻の35年の物語

この小さなアパートで、夫婦はずっと2人で暮らしてきました。

70歳を過ぎた夫は、過激な芸を売りにするパフォーマンス集団「電撃ネットワーク」のリーダー・南部虎弾さん。テレビに引っ張りだこだった全盛期には、月収が1000万円を超えることもあったといいますが、貯金もせず、芸にすべてをつぎこんでしまう南部さんが、ぜいたくな暮らしをすることは一度もありませんでした。

1990年に結成された電撃ネットワークは、体を張った芸でブレイクするも、次第に「不適切過ぎる芸」と見なされ、テレビに出られなくなります。

南部さんは、日本での活動に限界を感じ、活躍の場を世界に求めました。オーストラリアを始め、各国での公演は大成功。「TOKYO SHOCK BOYS」の名は、またたく間に世界に知れ渡ることになりました。電撃は、世界に初めて通用した日本の芸人だったのです。

しかし、過激な芸と不摂生は、南部さんの体を痛めつけていきます。2011年に糖尿病と診断、2017年には心不全を起こし、パイパス手術で一命を取り留めます。芸人・南部虎弾さんの体は限界でした。

それでも「生涯現役を貫きたい」という願いをかなえたのは、18歳年下の妻・由紀さん。「私の腎臓を一つあげてもいいよ」。こうして2019年に行われた妻から夫への「夫婦間生体腎移植」。妻からもらった“命”で南部さんは再び舞台に戻り、芸人としての復活を果たしました。ところが…。

これは、芸に命をかけた一人の芸人と妻の物語です。

<河合優実 インタビュー> <河合優実 インタビュー>

――今回、“語り”を担当すると決まった際は、どんな気持ちでしたか?

いつか挑戦したいと熱望していたので、うれしかったです!私自身は、普段はカメラを向けられる側ですが、『ザ・ノンフィクション』はそういう表のきれいな面だけではなく、いろいろな側面を見せているところが面白いです。

撮っている側の存在も感じるというか、どんなふうに密着取材を進めているか垣間見られたり、全然予期しない結末になったりするところも興味深いです。

――収録を終えていかがですか?

声のお仕事をさせていただくと毎回思うのですが、読んでいくうちにだんだん声がなじんでいく気がして、最初からやり直したくなります…(苦笑)。今回も、自分では緊張していないつもりだったんですけれど、「最初がちょっと硬かったな…」と後から思い返しました。

――前編のVTRでは主に、南部虎弾さんの芸人としての生き方を追っていましたが、感想を聞かせてください。

南部さんは文字通りに、本当に芸に命をかけていると思いました。あんなに自分をさらけ出す方は、時代の流れでどんどん少なくなっていると思いますが、それでも「電撃ネットワークのパフォーマンスは面白い」と、ライブに大勢のお客さんが集まっていることに、とてもワクワクしました。

私も、ちょっと過激な内容の舞台を見たり、出演したりすることがあって。今の世の中では考え直すべき内容でも結局みんな笑っちゃう、あの独特の空気を「どうか劇場の中にとどまって、よそに見つからないでほしい!」と思ったりします(笑)。

きっと、電撃ネットワークのファンの皆さんも、同じような気持ちなのかなと。お客さんの目の前で見せるパフォーマンス独特のパワーを、VTRから強く感じましたし、これからも続けてほしいと思いました。

――電撃ネットワークの“体を張った表現”を見て、どんなことを思いましたか?

私は、大学で演劇学科に在籍していたのですが、「パフォーマンスアート」というジャンルを紹介する授業があったことを思い出しました。

有名なものだと、アーティスト自身が前に立って、ハサミやバラの花など、さまざまな道具を用意された観客が本人にどう接触していくか、という実験を作品にしたものがあります。 最初はお花をプレゼントしたりハグをしていた人々が、服を切ったりナイフを向けたり、どんどん過激になっていくんです。

そんなふうに、人間が限界を超えていく様を作品としてきた芸術家も世界中にいますが、電撃ネットワークは、そういう実験的でアングラなアートと日本のお笑いのノリが合体したようなグループだったんだなと、今回の映像を見て感じました。

――視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。

南部さんの生き方はとてもエネルギッシュで、特殊だと思う方もいらっしゃるかもしれません。でも、妻の由紀さんをはじめ南部さんを取り巻く皆さんのことも見つめると、共感したり、感動したりする場面もきっとあると思います。南部さんの生き様とあわせて、自分自身の人生にも思いを馳せられると思いますので、ぜひご覧ください。

<河合優実 “語り”の一部を先行公開>

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