2024年7月、フランスのパリ市でオリンピックが開かれるが、現地ではトイレが不足する問題が起きている。日本から海外を訪れてトイレで困ったケースもあるが、逆に海外から来た人が「洋式」でも困る問題が起こり、自治体がまさかのイラストで説明していた。
■名古屋の街で聞いた「海外のトイレで困った件」
パリ市内には現在、男女共用の1人用公衆トイレが435カ所ある。使用後にドアが閉まると室内を自動で洗浄、消毒、乾燥してくれるという優れものだ。しかし、洗浄に1-2分かかり、 行列ができる原因になっている。
こうした公衆トイレを改修して洗浄時間を短縮したり、男性用トイレを増設したりと、急ピッチで工事が進められているということだ。
海外の公衆トイレで困ったことを名古屋の街で聞いてみた。
女性A：
日本のトイレは下の方まで扉があるんですけど、（シンガポールでは）下の方が開いていて、ちょっと抵抗があって入りにくいというのはあります
女性B：
（イタリアで）あまり排水がよくないので、1回下手に流しちゃうと水が貯まるまですごく時間がかかるから、次の人が入っても「まだ流れないじゃん」みたいな
■ロシアから来た女性は公衆トイレで「流す」はずが“警察沙汰”に
名古屋市中村区の外国語スクール「アイザック名古屋校」では来日28年、インドネシア人のデウィ先生が答えてくれた。
インドネシア出身のデウィさん：
ロールペーパーを使わないです。インドネシア人は80％以上イスラム教で、（宗教上）お手洗いは拭くだけでは物足りないんです。お水で洗って清潔にする。個人で小さいタオルを持って拭いたりします
ロシア出身のユリヤ先生は、来日したばかりの時に「事件」が起きたという。
ロシア出身のユリヤさん：
大きなボタンを押したら、公衆トイレの外のランプがピカピカ光って、音も鳴り、最後は警察の人も来ました（笑）。そのボタンは緊急用のボタンだった。公衆トイレに行くことが少し怖くなりました
■実情は「必要」…「そんな人いるのだろうか」と感じる千葉県のポスターイラスト
トイレの研究家で、世界トイレ協会の理事でもある白倉正子さんに伺った。世界のトイレは、本当に様々な文化があるが、白倉さんによりますと日本の公衆トイレは世界の中でも清潔で先進的だということだ。
白倉さんは、外国人にトイレの使い方を説明する千葉県のポスターの監修にも携わった。
この中で、便器に靴であがってはいけないということを説明するイラストがある。
正直そんな人いるのか、と思った人もいるかもしれないが、その原因の一つと考えられるのが便器の形だ。例えば和式トイレは、水が吸い込まれる場所が日本では前にあるが、海外の多くでは後ろにある。
白倉さんは、水の溜まる所を狙って用を足す人が多く、 結果、前後逆向きに座ってしまう人がいて、汚れの原因になっていると指摘している。
また、和式トイレでは陶器の一部がデコボコになっているものがある。これは「足場」であるため、同じイメージで洋式トイレの便座に土足で上がってしまう人がいて、 汚れや破損の原因になってしまっているということだ。このためポスターで理解してもらおうと作成された。
■外国人観光客へのアンケートで「訪れにくい観光地」1位は「トイレが薄暗く汚い」
住宅設備メーカーのTOTOが2018年、日本に来た外国人観光客に対して行った「観光地などで「訪れにくくなる」要素についてのアンケートによりますと「多言語表示が少ない」や「コミュニケーションがとりづらい」という言葉の壁に関する課題を上回って1位だったのが「トイレが薄暗く臭い」という回答だった。
アンケート結果からも外国人にとって、旅先のトイレが重要なことがわかるが、対策をいち早く実施したのが岐阜県高山市だ。
外国人など、様々な人に旅行してもらって意見を集める 「モニターツアー」をやるなどして、観光に最適な街づくりを行っている。
公衆トイレもそのひとつで、ほぼ洋式に変えたのはもちろん、利用客が多いところは1日2回、他でも1日1回清掃、1年に1回、49カ所・全246の便器が壊れていたり、汚れていないかを、業者に任せず市の職員がチェックしている。
また、観光マップにトイレの位置を示し、 いつでもトイレに行けるよう配慮しているということだ。
2024年4月5日放送
（東海テレビ）
