待望の初ゴールに称賛の声。川崎ゴミスの人間性が窺えるチームメイトたちの言葉

[J1第13節]川崎 3-0 札幌/5月11日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

川崎が3-0で快勝したホームでの札幌戦、殊勲はなんと言っても前半だけでハットトリックを記録した元フランス代表FWバフェティンビ・ゴミスだろう。

昨年8月に加入し、なかなか結果を残せずにいた男は、30分にペナルティエリア内でボールを受けると、ターンから右足を振り抜いてついに待望のJリーグ初ゴールを挙げると、43分にはクロスから、45+3分にはPKで、3得点を決めてみせた。

欧州などでキャリアを積んできた38歳の経験豊富なストライカーは、ゴールから遠ざかるなかでも常に真摯にトレーニングに励み、周囲をリスペクトしてきた。試合後にはこんな言葉も残している。

「(自分はゴールを)決めるために来ましたが、学ばなくてはいけないことを常に意識してきました。これは心から言えます。日本の皆さんは礼儀正しく、相手をリスペクトして接してくれます。人間として学ぶべきところが多いです。そして辛抱強く応援し続けてくれました。本当に感謝したいです。日本は学ぶにあたって最高の地です」

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そして、ゴミスの姿を間近で見つめ、頻繁に意思疎通してきたプロ2年目、23歳の山田新は、同じストライカーとしてライバルでありながら、彼のゴールには喜びを覚えたという。

「やっぱりライバルではあるので刺激になりますし、普段から話すことも多いので素直に嬉しい気持ちもありました。負けてられないな、と感じつつ、喜んでもいました。

バフェ(ゴミス)はよく話しかけてくれますし、僕のプレーを褒めてくれるなど、愛情表現をしてくれるんです。いろいろバフェも悩んだりしていたことも知っていて、意外とネガティブだったりする面も見てきたので(笑)、やっぱりその分、嬉しかったですね。でも改めて僕も負けていられないなと」

山田は札幌戦で61分にゴミスとの交代でピッチへ。好機を仕留め切れず「チャンスに絡めていることをポジティブに考えながらやっていきたい」と悔しさも顔に浮かべていたが、ゴミスからは多くのことを吸収しているようだ。

またオランダで実績を積み、今季川崎に加入したDFファンウェルメスケルケン際は、英語で日々、ゴミスとコミュニケーション。試合後などもふたりが肩を並べる姿はよく見られ、以前には「本当にバフェの得点を僕がアシストしたい」と語っていたのも印象的だった。札幌戦後にはこう語ってくれた。

「『(アシストは)俺じゃないのか!!(笑)』と思いながらも、本当に自分のことのように嬉しかったですね。3点取るのはさすがだなと。PKの落ち着きは並外れています。やっぱり一緒にプレーできて素晴らしい選手だなと実感しています。

彼は腐らずにと言いますか、後輩の育成を含め、自分の経験を還元してくれています。練習も真摯にやっていますし、本当に素晴らしいシュートを練習から何本も打っていたので、それがやっと試合に出た感じでした」

チームメイトから寄せられるのはやはりその人間性について。初ゴールまで時間はかかってしまったが、ゴミスが周囲に与えている影響は小さくないと言えるのだろう。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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