「東大は滑り止め」留学ではなく海外大への進学が増えている理由とは?

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大学進学は国内だけじゃない、海外への進学も注目され始めています!親世代の頃からどんどん変化する学校教育、ついていけていますか?今どきの教育・進学事情や新しい教育用語を、専門家にインタビュー取材します。

<教えてくれた人>
・教育スペシャリスト 辻村慎乃介さん
世界の大学受験に精通し、海外進学指導の実績は1万2500件以上。自治体の海外進学プログラム支援等も行う。自身もイギリスで修士号(MBA)を取得している。

・ジャーナリスト
宮本さおりさん
夫の米国留学で新聞記者から専業主婦に。帰国後、子育て・教育分野を中心に執筆。『データサイエンスが求める新しい数学力』(日本実業出版社)著者。大学生と中学生の母。

Q 留学ではなく海外大への進学が増えているって、本当?

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A 学力トップ層の間では「東大より上」の進学先として海外大が注目され始めています。

近年、帰国子女ではない生徒が、海外大進学を目指すケースが増えています。学力トップ層の中には、世界大学ランキング上位のハーバードやオックスフォードといった海外大が本命で、東大は滑り止めというケースもあります。

海外大進学に力を入れる中高一貫校も増加しており、インターナショナルコースを設けている広尾学園では、ここ3年、海外大の合格者数が毎年100名を超えているほどです。開成のような、東大入学者数のトップを争うような学校でも、海外大進学者は増加傾向にあります。

海外大進学のためには、TOEFLなどの語学試験である程度高い点を取る必要があり、学力はそれほどではないというお子さんの場合、いきなり海外大を受験するのはハードルが高いです。ただ、だからといってあきらめる必要はなく、現地の語学学校やキャリアアカデミーからスタートし、現地の大学への入学資格を得てから入学や編入するという方法もあります。

気になるのは費用面ですが、各大学や民間財団には、成績優秀者を対象とする“スカラシップ”があり、学費の減免や奨学金の給付を受けられる場合があるほか、日本学生支援機構にも留学向けの奨学金制度があります。

●海外大進学に力を入れている学校の進学実績例
海外大進学を目指すインターナショナルコースや国際バカロレア(※)認定コースがあったり、海外に協定校を多く持つなど、国際教育に力を入れる学校が増えています。これは、下記に挙げた都心の学校だけでなく、地方の高校でも見られる傾向です。

<広尾学園高校>
23年度の海外大合格者数は148名と、日本一多い合格者数を誇る

<都立国際高校>
23年度の海外大合格者数は75名。英語圏だけでなく韓国の大学等への進学者も

※国際的な視野で行動するための能力やスキルを育み、世界中の大学に進学する際に使える入学資格(国際バカロレア資格)が得られる

いきなり海外大への進学を決めて大丈夫?

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食べ物や生活文化の違いから、海外での生活が合わないと感じる人もいます。経済事情が許すなら、中学や高校の夏休みなどを利用して、ホームステイや語学研修などの短期留学を経験しておくといいでしょう。短期留学は、学校の制度や留学エージェントを活用するケースが多いです。(辻村さん)

海外大に進学するメリットは何?

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アメリカに多い「リベラルアーツ教育」の大学では、入学時点での学部の縛りがなく、新入生は文理を問わず幅広く学ぶカリキュラムになっているため、入学してから学びたいことを決められます。

また、海外大を卒業すると就職先がグローバルに広がるうえに、日本より給与水準が高いので、これまで支援してきた海外大進学者の多くは年収1000万円以上からのスタートでした。ただし、海外では大学での学びや研究、習得したスキルを、就職先企業にどのように貢献できるかが重要視されるため、在学中に様々な活動をすることが大切になります。(辻村さん)

参照:『サンキュ!』2024年5月号「今どきの教育事情どうなってるの?」より。掲載している情報は2024年3月現在のものです。プロップ制作/川村ちゃん 取材・文/宮本さおり 編集/サンキュ!編集部

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