KDDIとSkydioが資本業務提携を締結、ドローン社会実装を加速

by 北川 研斗

KDDIとSkydioは、5月7日に資本業務提携を締結した。KDDIスマートドローンが提供するプラットフォームなどと組み合わせて点検・監視業務の効率化などを目指す。

左からKDDI 松田氏、Skydio モス氏、KDDIスマートドローン 博野氏

KDDIの出資額は100億円に届く規模という。KDDIでは、アジア太平洋地域11か国でのSkydio製品の独占販売権を得た。Skydioが従来から協力しているドコモグループとの関係は今後も維持されるという。

KDDIスマートドローンの運行管理技術とSkydioの自立飛行性能を備えるドローンを組み合わせる。インフラの点検・監視における効率化や災害時における情報収集などで連携する。労働者人口の不足や高度経済成長期に完成したインフラの老朽化などの社会課題が叫ばれるなか、ドローンによる効率化で課題解決につなげる狙い。

Skydioが提供する新型機「Skydio X10」は、可視光と赤外線センサーで暗闇でも飛行できるなどの特徴を持ち、夜間の点検などにも用いることができるという。Skydio Chief Corporate Development Officerのトム・モス氏によれば、米国ではすでに雪崩での遭難者捜索やF1でのコース監視で導入実績がある。

KDDIスマートドローンでは、スクールを開催するなど利用拡大に向けて取り組んできた。同社 代表取締役社長の博野雅文氏はSkydio製のドローンにより、監視・点検領域でのドローン実用化が前進することに期待感を示し、Skydio X10によりこれまでの枠組みを超えて多様な用途でドローンを利用できるようになるとする。同機はLTEと5G通信に対応しており、将来的には衛星ブロードバンドの「Starlink」との直接通信により、携帯電話サービスのエリア外の地域でもドローンの運用が可能な世界を目指すという。これにより、山中にあるダムの巡視や災害時の捜索などにもドローンを取り入れやすくなる。同社では、Skydio X10向けプランとして、不定期な利用がメインでも使いやすい従量制も導入した。

KDDI 取締役執行役員常務の松田浩路氏は、将来的な構想として緊急時に最初にドローンが駆けつける社会を提言。試算上では、日本全国に1000カ所の発着場所があれば、10分以内にどこにでも到達できるとして、近い将来に実現したい考えを示した。具体的には今後、議論が進むとされているが基地局やローソンの店舗などがドローン配備先の候補として挙げられた。

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