WEC第3戦、ハーツ・チームJOTAの12号車ポルシェ963が優勝、赤旗中断からの接近戦を制す 【スパ・フランコルシャン6時間決勝】

2024年5月11日(現地時間)、WEC(世界耐久選手権)第3戦スパ・フランコルシャン6時間がベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで行われ、ハーツ・チームJOTAの12号車ポルシェ963が優勝、2位にペンスキーチームの6号車ポルシェ963、3位にフェラーリAFコルセの50号車フェラーリ499Pが入った。トヨタ勢は他車との接触やペナルティで表彰台ならず、8号車トヨタGR010ハイブリッドが6位、7号車が7位に入るのがやっとだった。

2号車キャデラックの追い上げとクラッシュでレース展開は一変

予選では50号車フェラーリ499Pがトップタイムをマークしたものの失格となり、繰り上がりで5号車ポルシェ963がポールポジションを獲得、2番手2号車キャデラックVシリーズがつける展開となっていた。一方トヨタは8号車が6番手、7号車が14番手とパフォーマンス的にやや不利な状況で、フェラーリ、ポルシェ、キャデラックを追う立場になった。

ル・マンの前哨戦としても重要なレースと位置づけられるスパ・フランコルシャン6時間。決勝スタートでは、予選で上位につけたポルシェ勢が速さを見せ、序盤から激しい戦いが繰り広げられた。

決勝日は好天で暖かな気候となり、8万8100人にのぼる記録的な大観衆が見守る中、序盤からまるでスプリントレースのような激しい戦いが繰り広げられ、デブリ回収のためのフルコースイエローや多重クラッシュ、セーフティカーの導入など波乱含みの始まりとなった。

4時間を経過した時点で、予選トップの5号車ポルシェ963は後退、2番手2号車キャデラックもトップ10圏外に沈み、フェラーリの51号車、50号車が1-2体制を作り上げていた。

終盤のポイントとなったのは、序盤大きく後退していた2号車キャデラックの追い上げ。3番手の99号車プロトンのポルシェ963を猛然と追っていた2号車キャデラックは、ケメルストレートでGT3のBMW M4と接触し、大クラッシュ。これで赤旗中断となる。

この赤旗中断は2時間近くにもおよび、このままレース終了かと思われたが、残り1時間44分でレースが再開されることが決定、陽が沈む中で最後の戦いが繰り広げられることになった。

最後の勝敗を決めたのは、12号車と6号車のポルシェ963が赤旗中断直前にピットストップを行っていたこと。上位陣がレース再開後にピットに入る中、2台のポルシェ963がレースをリードし、優勝争いを展開することになる。

この2台の戦いは最後まで続いたが、12号車は最後のピットも素早くこなし、プライベーターのハーツ・チームJOTAがワークスのペンスキーを従えてトップでゴールした。

終わってみれば、ル・マンの前哨戦と言われるスパ・フランコルシャンで、ポルシェとフェラーリがトップ5を独占。フェラーリにとっては勝利をほぼ手中に収めていただけに惜しいところだが、ル・マンに向けて手応えがあったレースと言えるだろう。

ワークスのペンスキー・ポルシェを従えて、トップでフィニッシュしたハーツ・チームJOTAの12号車ポルシェ963。

トヨタは粘り強く追い上げ6位と7位でフィニッシュ

前戦イモラに続く連勝を狙っていたトヨタにとっては、他車との接触やペナルティ、パフォーマンス不足など、厳しい結果となった。

パフォーマンス不足に苦しんだトヨタ勢。それが他車との接触やペナルティを生んだが、それでも粘り強く6位と7位を確保。

6番手スタートの8号車は、レース開始直後の1コーナーで他車と接触し9番手に後退。さらにフォーメーションラップ中の使用エネルギー量の上限を超過したとして5秒ストップのペナルティを科されてしまい、最後尾までポジションダウンする。それでも8号車はあきらめずプッシュし続け6位でフィニッシュしているが、優勝争いに加わることはできなかった。

一方、14番手スタートの7号車は、1周目に12番手に順位を上げると、1回目のピットストップで8番手にポジションアップしたが、その後バーチャルセーフティカー導入時の速度違反によって15番手まで順位を落とすなど、ストレスの溜まる展開に。

赤旗中断後のレース再開時には上位陣のピットストップもあって一時3番手位を走行するも、ペースで勝るフェラーリ50号車、51号車、ポルシェ99号車にかわされ、さらに周回遅れのGT3車両との接触で5秒加算のペナルティも科され、最終的には7位となった。

他車との接触やペナルティはあったものの、パフォーマンスという点でもフェラーリとポルシェに劣っていたのは明らかで、ここからル・マン24時間に向けてトヨタがどう挽回していくのか楽しみだ。

次戦ル・マン24時間は6月9日の公式テストデーでスタート。決勝は6月15日(土)から16日(日)にかけて行われる。

2024年WEC世界耐久選手権第3戦スパ・フランコルシャン6時間 決勝

1位 12 ポルシェ 963・ハーツ(スティーブンス/アイロット)141周
2位 6 ポルシェ 963・ペンスキー(エストレ/ロッテラー/バンスール)+12.363s
3位 50 フェラーリ 499P・AFコルセ(フオコ/モリーナ/ニールセン) +74.020s
4位 51 フェラーリ 499P・AFコルセ(グイディ/カラド/ジョビナッツィ)+77.710s
5位 5 ポルシェ 963・プロトン(ジャニ/アンドラウアー) +86.326s
6位 8 トヨタGR010ハイブリッド(ブエミ/ハートレー/平川亮)+94.9557s
7位 7 トヨタGR010ハイブリッド(コンウェイ/小林可夢偉/ロペス))+98.331s

2024年WEC世界耐久選手権ドライバーズランキング(第3戦終了時)

1位 エストレ/ロッテラー/バンスール(ポルシェ) 74
2位 スティーブンス/アイロット(ポルシェ)52
3位 コンウェイ/小林可夢偉/ロペス(トヨタ)46
4位 キャンベル/クリステンセン/マコヴィッキィ(ポルシェ) 40
4位 フオコ/モリーナ/ニールセン(フェラーリ)40
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8位 ブエミ/ハートレー/平川亮(トヨタ)24

2024年WEC世界耐久選手権マニュファクチャラーズランキング(第3戦終了時)

1位 ポルシェ 83
2位 トヨタ 60
3位 フェラーリ 49
4位 アルピーヌ23
5位 BMW 21

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