瀧井孝作の日本文学大賞受賞作を映画化『初めての女』6月公開 髙橋雄祐、芋生悠ら出演

小平哲兵が監督・脚本を務めた映画『初めての女』が、6月22日よりユーロスペースほかにて全国順次公開されることが決定 。あわせて予告編とポスタービジュアル、場面写真第1弾が公開された。

原作は、志賀直哉に兄事し、芥川賞の選考委員を創設以来46年間務め、生誕130年を迎える俳人・瀧井孝作が日本文学大賞を受賞した私小説『俳人仲間』。本作は、そんなまだ何者でもない青年が経験する“はじまりの物語”を描いた私小説『俳人仲間』の一編『初めての女』を映画化するもの。元漁師という経歴を持ち、本作が劇場デビューとなる小平が、高山市の人々の協力の元、作品を完成させた。

明治末期。北アルプスの山々に囲まれた地で育った青年・瀧井孝作は、父親の事業が失敗し丁稚奉公に出され、窮屈な日々を過ごしていた。幼い頃に兄や母を亡くし、寂しい孝作の拠り所は俳句に没頭すること。そんなある日、西洋料理屋の女中・玉と出会う。美しい年上の女性の魅力に孝作は惹かれていく。“堤長き 並松月夜 涼み行く”孝作は、心からの玉への気持ちを句にしたためた。玉との距離が縮まったと思っていた孝作だったが、次第に玉の言動や噂から不信が募っていく。そんな折、玉と訪れた店で三味線芸者の鶴昇(加藤菊)と出会う。鶴昇の端麗でどこか悲しげな姿に心奪われ、玉が孝作の元から去った後、鶴昇にのめり込み始める。今までにない感情に翻弄される孝作は、次第に俳句からも遠ざかってしまう——。

主人公・瀧井孝作を演じるのは、井筒和幸監督や上田慎一郎監督の作品に出演してきた髙橋雄祐。また、孝作が出会う西洋料理屋の玉役を芋生悠が演じ、劇中で自身の特技である三味線を披露した三輪晴香が芸者の菊役を担当した。

公開された予告編とポスター、場面写真第1弾では、大正初期の飛騨高山に残る歴史ある古い街並みや雄大な自然を舞台に、寂しい日々を過ごす2人の女性との恋や、丁稚奉公の仕事と俳句の執筆活動など、まだ何者でもない青年・孝作(髙橋雄祐)が苦悩や葛藤を胸に、「情けないけど自由、ノンキだけど純粋」な表情で歩み始める姿が捉えられている。映像では、「ここから、はじめようと思います」という台詞も確認できる。

小平哲兵(監督/脚本)コメント
「忘れられない人」誰しもが人生において、そんな人との出会い、別れを経験し……、ふと、思い返す時があるの ではないでしょうか?
俳人・瀧井孝作も、若い頃の故郷を振り返り、晩年にその経験を自著に書き留めました。会者定離、出会いあれば 別れは必ずくるものです。
この作品は、純粋な孝作の哀しくも愛に溢れた、始まりを告げるケジメの物語です。
そして、「忘れたくない人」をもつスタッフ、キャスト達と真摯に向き合い、丁寧に制作しました。
是非、そんな忘れられない人が、心に居られる方に観に来て頂けたらと思います。
(文=リアルサウンド編集部)

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