AAAタイトルでのゲーム内広告は「時期尚早」―EAのCEOが決算説明会で言及

AAAタイトルでのゲーム内広告は「時期尚早」―EAのCEOが決算説明会で言及

Electronic ArtsのCEOであるAndrew Wilson氏は、現地時間5月7日に行われた決算説明会の質疑応答で自社タイトルにおけるゲーム内広告の掲載に関するスタンスを明らかにしました。

件の質疑応答では、アナリストから「AAAタイトルにダイナミック広告を挿入することをどう思うか。もしそうした場合、それが中・長期的にどのような収益をもたらしうると認識しているか」との質問が挙がりました。

Wilson氏はこれに対し、世界中のプレイヤーコミュニティが一番に望んでいるのは、自分たちの好きなゲームと深く交流し、関わり合うことにあると回答。そしてEAがすべきことは、自社タイトルにおける遊びの定義や文脈、種類などを拡大することで、プレイや観戦などを通じてプレイヤー同士がコミュニティをより大きくしていくことにあるとしました。

そのうえで、ゲームへの広告掲載についても慎重に検討を進めていると回答。世界中のプレイヤーが自社タイトルに何十億という時間を費やしてくれており、その多くがゲームプレイの枠内で行われていることを考えるとゲーム内広告掲載は「有意義な成長の原動力」となりうるとしました。

しかし、自社AAAタイトルのヒットが社会との深いつながりによって成り立っていることを考えると「ゲームにダイナミック広告を掲載するのは時期尚早だと考えている」と語りました。


基本無料のモバイルゲームでは、広告を見ることでなんらかの報酬を得られるリワード広告が用いられていることもあり、ゲーム内広告に抵抗がないプレイヤーも多いとされています。

一方で、安くはない金額を払って購入したAAAタイトルでもゲーム内広告が受け入れられるとは限りません。EAは2020年リリースの『EA Sports UFC 4』でAmazon Prime Videoが配信するドラマ番組「The Boys」のゲーム内広告を掲載しましたが、画面にオーバーレイさせるなどの見せ方がプレイヤーの不興を買い、広告を削除するに至りました。当時、海外メディアのForbesなどが顛末を報じています

近年、AAAタイトルの開発費は増大する一方で、各スタジオはコストをいかに軽減するかに苦心しています。情勢を鑑みると広告掲載を始めとする新たなマネタイズ手法の流れは避けづらいようにも感じられますが、EAタイトルにダイナミック広告の掲載が行われるとしたら、いつ、どのような形になるのでしょうか。

© 株式会社イード