アームを中心にAI投資を進めるソフトバンクグループ

by 太田 亮三

ソフトバンクグループ取締役専務執行役員CFO兼CISOの後藤芳光氏

ソフトバンクグループは、2023年度の決算を発表した。業績は、大きく落とした2022年度から改善。子会社のアーム(Arm)をNASDAQに上場した年となり、AIを中心にした投資戦略を引き続き推進していく。

投資会社として活動するソフトバンクグループの売上高は、前年度比1,861億円増の6兆7,565億円、投資損益は2,757億円増のマイナス5,594億円、純利益は7,425億円増のマイナス2,276億円。2023年度は後半に業績を持ち直し「守りをしっかりと固めた上で、やるべき攻めができた」(ソフトバンクグループ取締役専務執行役員CFO兼CISOの後藤芳光氏)と総括されている。

ソフトバンクグループの2023年度の業績

2023年9月に上場したアームは、株価の上昇もありNAV(時価純資産)で大きな割合を占めるようになった。

アームは買収前の2015年と比較して、売上、アームベースチップの出荷数、人員はいずれも大幅に増加。ロイヤルティー収入は構成比が大きく変化し、2015年と比較してモバイルの割合は縮小したものの、モバイル収入自体は1.5倍になるなど、売上全体が大きく成長。AWSやGoogleなどに向けたAI関連でのクラウドの比率も大きく増加している。

ソフトバンクグループが保有する資産構成は、2020年と比較して、アリババ株を売却しアームがそれに代わるなど大きく変化。ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVFs)の割合も増加している。

この変化については、中国集中リスクの緩和のほか、AIへのシフトを鮮明にするものと説明。アームをAIシフトの中核に据えているほか、SVFsの投資先などもAIを活用する企業群を対象にしている。

これらは、ソフトバンクグループ代表取締役会長兼社長執行役員の孫正義氏が、AIの大幅な発展について語った内容に沿ったものになっており、6月の株主総会でもその世界観のアップデートが語られる見込み。

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