現在64歳です。繰上げ受給した年金をさらに増やすことはできますか?

老齢基礎年金を増やすことはできません

老齢基礎年金の基になる国民年金保険料は、20歳から60歳まで40年間にわたって納めます。なお、20歳から60歳までの間、会社員として厚生年金保険料を納めていても、国民年金保険料を納めたことになります。

もし20歳から60歳までの間に、会社員でなく、国民年金保険料を納めていない時期が1ヶ月でもあれば、その分、老齢基礎年金が減ってしまうことになります(繰上げ受給による減額とはまた別)。

そのため、60歳から65歳の間に任意加入をすれば、国民年金保険料を納めていなかった時期を補うことができます。しかし、繰上げ受給をしてしまうとそれ以降任意加入することができなくなってしまいます。

国民年金基金も加入できない

60歳以後に国民年金基金に加入するためには、国民年金の任意加入が前提となります。しかし、年金の繰上げ受給をしてしまうと、国民年金の任意加入ができません。つまり、国民年金基金にも加入することができません。

厚生年金保険なら加入でき、増やすことができる

就職し、会社員になれば厚生年金保険に加入できます。厚生年金保険は70歳まで掛けることができます。会社勤めが1ヶ月でも長ければ、つまり厚生年金保険に掛けた期間が1ヶ月でも長ければ、老齢厚生年金の額を増やすことができます。

なお、年金の繰上げ受給を始めてから掛け始めた老齢厚生年金については、繰上げ受給による減額の対象にはなりません。

また、60歳以後に納めた厚生年金保険料は、老齢厚生年金の経過的加算部分の額にも反映します。(ただし上限があります)。経過的加算は65歳になってから受け取り開始です。

なお「個人事業主として働いているので、厚生年金保険には加入できない」という場合、自身で法人を作るという方法もあります。社長1人の会社でも厚生年金保険に加入することが義務となるからです。

65歳から70歳までの間、毎年9月1日現在、厚生年金保険に加入していると、10月分の老齢厚生年金の額が見直されます。

これを在職定時改定といいます。また厚生年金保険に加入しながら老齢厚生年金をもらっている人が、70歳になったときは、70歳の誕生日の翌月分の年金から額が見直されます。こちらは退職改定といいます。

小規模企業共済

「就職も会社法人設立もしたくない」人が、年金額を増やしたいという場合、小規模企業共済が考えられます。

ただし、小規模企業共済では老齢基礎年金や老齢厚生年金の額を増やすことにはつながりません。「掛けた金額+α」を将来、受け取るというイメージです。小規模企業共済に加入できるのは、個人事業主や規模の小さい会社の役員などです。

以上、年金を繰上げ受給している人のための、年金の増やし方でした。

出典

国民年金基金 60歳以上の加入
日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 か行 経過的加算
日本年金機構 令和4年4月から在職定時改定が導入されました
日本年金機構 在職老齢年金を受けている方が退職したとき(70歳に到達したとき)
日本年金機構 適用事業所と被保険者
日本年金機構 就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き
小規模企業共済

執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役

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