子どもと登る百名山「筑波山」レポ 「乗り物フル活用&登頂ナシ」でも絶景堪能!

歩きやすい登山道では足取りも軽くなる(撮影:金子美也子)

子どもと一緒に登山をするなら、できるだけ楽しく無理のない行程で歩きたいものである。

筑波山には、西の男体山(標高871m)と東の女体山(標高877m)と2つの山頂があり、それぞれケーブルカーとロープウェイを使うことで、一気に山頂近くまで行くことができる。

筑波山神社から女体山頂を目指すコースや男体山頂付近を周回するコースなど5つあり、いずれも自然豊かで魅力的なコースとなっている。

今回は、筑波山神社をスタートとゴールとした。まずは「迎場(むかえば)コース」でロープウェイ駅へ向かい、下りはケーブルカーを利用した、女体山と男体山の山頂を堪能できるコースを紹介したい。

ロープウェイとケーブルカーを利用することで子どもも飽きずに楽しめ、岩場も少ないコースは歩きやすく安心である。

ゆるやかなコースだが道が細くなっている箇所があるので、子どもは山側を歩かせ、谷側を歩く自分は道を踏み外さないように足元に注意して歩くように心がけよう。また、子どもだけ先に走っていって離れないように注意しよう。

■筑波山神社から出発

筑波山神社は首都圏からのアクセスも良いことから、週末は多くの観光客でにぎわう。梅の咲く頃や七五三の時期は道路が渋滞し大変混雑するので、訪れる時期には注意が必要である。

鳥居をくぐり、神社の裏手の住宅地の先に「迎場コース」の登山口がある。

■踏ん張りどころの「迎場コース」

「迎場コース」は、筑波山神社からロープウェイ乗り場のある「つつじヶ丘」までを歩くコースである。ロープウェイに乗れば、女体山頂の近くまで一気に上ることができる。

今回は、下山で筑波山神社から乗ることができるケーブルカーを利用するため、上りはあえて遠いロープウェイを利用する。

筑波山神社からはケーブルカーを利用して男体山を目指す人が多いため、「迎場コース」は人が少なく、周りを気にせず子どもに合わせてゆっくりと歩くことができる。

しかし、筑波山神社からロープウェイ乗り場までは約1.6kmと、今回のコースで一番歩行距離が長いため、飽きさせないように工夫が必要である。筆者は、気を紛らせるためにひたすらしゃべり続け、ロープウェイ乗り場のあるつつじヶ丘駅に着くまでにご褒美のゼリーをあげつつ、何とか踏ん張った。

■ご褒美ロープウェイから絶景の「女体山」山頂エリア へ

子どもにとってはアトラクションのような感覚なのだろう(撮影:金子美也子)

ロープウェイに乗ること6分で女体山駅に到着である。この日も平地より気温が5℃近く下がったので晴れた日でも上着を持参し、羽織るなどして調整しよう。

女体山駅から徒歩5分で女体山の山頂へ到着である。

女体山頂にある標識「日本百名山 筑波山」(撮影:金子美也子)

女体山頂は岩場になっており、人が密集していると大変危険なので、子どもがいるときは無理をせず山頂へ行かずに下りるなど、状況をみて判断しよう。

実際に筆者も危険と判断し、山頂へ行かずに下りた経験があるが、大人でも転落するおそれがあるので注意が必要である。今回は人が少なかったため、子どもと一緒に山頂に行くことができた。

■のんびりとした稜線歩き

御幸ヶ原(みゆきがはら)までは子どもの足でも十分歩くことができる(撮影:金子美也子)

女体山頂から、緩やかなアップダウンのある 稜線を歩くこと15分で、ケーブルカーの発着所である筑波山頂駅がある御幸ヶ原(標高800m)に到着する。

広々として景色も良い御幸ヶ原には、テーブルやベンチが多数あり、男体山へ向かう前に腹ごしらえをしておこう。

■「男体山」からケーブルカーで一瞬の下山

御幸ヶ原から男体山頂へはきつい登りが続く15分の道のりである。子どもの様子次第で、男体山へは向かわずケーブルカーで下山してもよいだろう。

ケーブルカーの発着所である筑波山頂駅(撮影:金子美也子)

下山はケーブルカーに乗って8分で筑波山神社の宮脇駅に到着である。

今回紹介したコースは全体的にゆるやかなコースだが、登山の際は足元に十分注意して歩こう。

■子連れ登山での持ち物

今回の筑波山は、ケーブルカーとロープウェイを使って登れることからお手軽な山のイメージだが、山頂は風が強く気温も下がる。天気のよい日であっても汗をかいたり、風を受けると体が冷えて体力が奪われるので、暑くなる前に脱ぎ、休憩のときに一枚羽織れるように防寒着や予備の着替えが必要である。

また、休憩をこまめに取ることを想定して、水分や行動食は多めに用意しておこう。ご褒美となるおやつは子どものやる気に効果的である。

子連れで登山をする場合、どうしても持ち物が増えてしまうが、使わないかもしれないものでも、もしものときを想定して準備をしよう。

【持っていくと便利なもの】
・「レインウェア」動きやすいセパレートタイプで、防水透湿性のものがよい
・「防寒着」夏でも山の上は冷える。脱ぎ着しやすいものにしよう
・「帽子」日除けや防寒対策に、つばのある帽子と保温効果のあるニット帽がよい
・「水筒」自動販売機は山頂エリアにしかないので、夏場は一人1リットル以上は持っていこう
・「行動食」おにぎりやドライフルーツなど、食べやすく子どもが好きなものを持っていこう
・「着替え」汗をかいたり汚れてしまったりすることもあるため、2セットは必要である
・「絆創膏」転んだときにすぐ出せるようにしておこう。汗に強い防水タイプのものがよい
・「ウェットティッシュ」山頂エリアにしか水場がないので除菌タイプのものがよい
・「虫よけ」スプレータイプやシールタイプなど数種類あると便利である
・「ビニール袋」汚れ物やごみを入れる用に数枚持っていこう。密封できるジッパー付きのものが便利である
・「地図」トイレや危険箇所を把握し、現在地をこまめに確認するために必須である

関東平野を一望できる2つの山頂をもつ筑波山は、麓から眺めても美しいものである。下山後に子どもと眺めてみるのもよいだろう。

頑張って登り切ったあとに山頂からの絶景を堪能できる筑波山に、ぜひ家族で登ってみよう。

【登山ルート】
筑波山神社→(60分)→つつじヶ丘駅→(ロープウェイ6分)→女体山駅→(5分)→女体山頂→(15分)→御幸ヶ原→(15分)→男体山頂→(10分)→筑波山頂駅→(ケーブルカー8分)→筑波山神社
※子どもと一緒だとコースタイムそれぞれ1.5~2倍かかると考えた方がよいだろう。筆者は、4歳の子どもと歩き、コースタイム(休憩込み)が通常の1.5倍であった。

【筑波山ケーブルカー&ロープウェイ】
〒300-4352 茨城県つくば市筑波1番地
TEL 029-866-0611
※営業日時はホームページよりご確認ください

※この記事の情報は2024年5月現在のものです。内容が変更される場合もありますので、最新の情報はリンク先のHPでご確認ください。

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