大西勲さん死去 79歳 茨城・筑西の漆芸家、人間国宝

作品を手にほほ笑む大西勲さん=2003年10月

漆芸家で重要無形文化財保持者(人間国宝)の大西勲(おおにし・いさお)さんが10日午前2時43分、肺がんのため茨城県筑西市内の病院で死去した。79歳。自宅は同市玉戸。葬儀・告別式は14日午前11時から玉戸の蓮華玉戸で行われる。喪主は妻かをるさん。

装飾を施さず漆を塗ることだけで仕上げる技法「髹漆(きゅうしつ)」で知られる。2002年に同技法の人間国宝に認定された。

福岡県中間市出身。1974年に髹漆の人間国宝・赤地友哉さんに師事し、84年に独立した。

漆の精製から木地作り、漆塗りまでの工程を分業せずに1人で担い、日本伝統工芸展文部大臣賞をはじめ数々の賞を受賞した。2004年に紫綬褒章を受章。同年、現在の筑西市民栄誉賞を贈られ、県の特別功績者にも選ばれた。

檜板(ひのきいた)を薄く削ってさまざまな大きさの輪を作り、その輪を何重にも組み合わせる「曲輪造(まげわづくり)」といわれる高度な技法に取り組んだ。

茨城工芸会に所属し、出品活動を通して茨城県の文化芸術分野の振興に貢献。石川県立輪島漆芸技術研修所で講師を務めるなど、技術の伝承にも力を注いだ。

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