腕前は「お金が取れるレベル」 愛媛県出身の元音楽教師 国頭村にコーヒー店 移住した理由は?

大野さんが作った純銅のコーヒーメジャースプーン(提供)

 愛媛県出身の元音楽教師、大野裕史さん(61)が1日、沖縄県の国頭村半地にコーヒーショップを開店した。定年退職後の昨年7月に移住。1年近くこの地に暮らし、地域に溶け込んでおり、店はオープン直後から、地域住民らの憩いの場となっている。(北部報道部・松田駿太)

 店の名前はイタリア語で達人の域に達した音楽家を形容する「Virtuoso(ヴィルトゥオーソ)」。高校生の頃から45年以上オーボエを続け「お金が取れるレベル」(大野さん)という腕前。店名にはコーヒーの味も妥協せずに磨き続けたいとの思いを込めた。

 愛媛県の高校で音楽教師をしていた時代は「観客が楽しめる演奏」をスローガンに掲げ、マーチングバンドの顧問として文化系のインターハイ「全国総文祭」で赴任校を優勝に導いた。

 沖縄は、マリンレジャーなどでたびたび訪れ、海の美しさに魅力を感じていた。コーヒーが好きで、温かな場所でしか育たないコーヒー栽培の北限に位置する沖縄の県産コーヒーに興味があったことも後押しし、移住を決めた。

 店では、注文が入ってから、同村辺土名のコーヒー販売店から仕入れた豆をひく。深入りで苦みとコクがあるがどこか優しい味がする。

 値段は、地元の人に相談して、ブレンドコーヒー400円、さっぱりとした甘さがくせになる島バナナシェイクも500円とリーズナブルに設定した。

 手先が器用で純銅を打ち付けて作った「コーヒーメジャースプーン」も3500円から販売中だ。

 自分で収穫したコーヒーを出したいと近くの畑に苗木40本を植えた。「収穫まであと3年はかかる。まずはそこまで営業したい」

 県産コーヒーの香りがする音楽教室を開いて村の子どもたちにオーボエやピアノを教える-という目標も持っている。

 住所は国頭村半地86-9。営業時間は午前10時~午後5時。不定休。

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