洗濯のときにうっかり見落としている3つのこと プロが教える気をつけたいポイントとは

洗濯機に衣類用洗剤を投入(写真はイメージ)【写真:写真AC】

ひとり暮らしを始めれば、誰かに教わることなく、必然的にやることになる洗濯。洗濯機のボタンひとつ押せばきれいに洗い上がるはずなのに、臭いや汚れ落ちが気になることがあるかもしません。実は、洗濯“初心者”が見落としがちなことがあるようです。クリーニング店「ふくやクリーニング」2代目で、YouTubeチャンネル「洗濯のお兄さん/しゅんぺい」が人気の戒能駿平さんに話を伺いました。

◇ ◇ ◇

その1 雨や汗で濡れた衣類は、まず乾かそう

雨や汗で濡れてしまった衣類。洗濯するまでどうしていますか? 洗濯カゴや洗濯機の中にしばらく放置しているとしたら、それは「NG行為」だと戒能さんはいいます。

「毎日洗濯する家庭ではとくに気にすることはありませんが、週末にまとめて洗濯するライフスタイルの場合は、カビの発生原因になるので注意が必要です。洗濯カゴや洗濯機の中に入れて1週間くらい放置しておくと、カビが発生してしまいます。臭いの原因にもなるので、すぐに洗わないのであれば、濡れた衣類はまずは乾かすことを徹底するようにしましょう」

その2 室内干しの嫌な臭い 洗濯槽もチェックしよう

雨の日やこれからやってくる梅雨の季節など、洗濯物を外に干せないときは室内に干す機会も多くなるでしょう。乾燥機などがあれば別ですが、室内干しではどうしても嫌な臭いが発生しやすくなります。

「半乾きの嫌な臭いは、菌が原因です。乾くまでの時間が長ければ長いほど、菌が増殖しやすくなりますので、いかに早く乾かすかが大事になってきます。室内に干す場合は、扇風機やサーキュレーターの風を下から直接、洗濯物に当てると乾くスピードがまったく違ってきます」

ただし、対策をしても洗濯後の衣類の臭いが気になるようであれば、洗濯槽に原因があることも。「けっこう見落としがちなのですが、洗濯槽が汚れていると、その臭いが衣類に付着してしまいます。その結果、いくら洗い直しても臭いが気になる場合があります」と戒能さん。定期的な洗濯槽の掃除も大切ですね。

その3 洗剤は「液性」で見分けて正しく使おう

洗剤の選び方や使い方でも、洗濯がうまくいかないことがあるようです。戒能さんによると「好みの香りや、パッケージなどで選ばれることもあると思います。どれを使っても劇的な違いはないといえますが、液性について知らずに選んで使っていると汚れが落ちていないこともあるので、一度確認したほうがいいでしょう」とのこと。

衣類用洗剤の液性には大きく分けて、弱アルカリ性、中性、弱酸性の3種類があります。

「洗浄力が一番強いのは、弱アルカリ性洗剤です。汚れをきれいに落としてくれるのが弱アルカリ性洗剤なのですが、成分が強いため、すすぎが甘く衣類に洗剤が残ってしまうと、肌荒れを起こす原因になるので注意が必要です。中性洗剤はおしゃれ着用洗剤として知られているものですが、洗浄力が弱く、衣類への負担が少ないため、おしゃれ着に使われることが多いデリケートな素材に使用することができます」

また、使っている洗濯機によっては、投入口がないタイプのものもあるかもしれません。その際は、洗濯の際に衣類用洗剤を服に直接垂らすことも「NG行為」だと戒能さんはいいます。

「洗剤の投入口のない洗濯機の場合、ついやりがちなのですが、直接衣類に洗剤は垂らさないでください。脱色したり、洗剤が衣類の繊維に染み込むことで、着用したときに肌が触れた部分が肌荒れを起こしたりします。先に水を入れた洗面器やバケツなどを用意し、そこへ洗剤を入れて溶かしてから洗濯機の中に投入するといいですよ」

つい我流になりがちな洗濯ですが、見落としがちな点を見直して、すっきり仕上げたいですね。

戒能 駿平(かいのう・しゅんぺい/ふくやクリーニング)
愛媛県松山市で、創業60年のクリーニング店「ふくやクリーニング」を経営する株式会社ふくやの2代目代表取締役社長。もともとは母方の祖父母が営んでいたクリーニング店だったが、子どもの頃に祖父母の仕事ぶりを見ていて、自分自身も「やりたい」と思うように。専門学校卒業後、修行を積み事業継承。現在ではクリーニング店を経営する傍ら、YouTubeチャンネル「洗濯のお兄さん/しゅんぺい」やSNSでクリーニングに関する情報を配信している。

© 株式会社Creative2