リボンパンは1時間で即完 “韓国っぽ”カフェが次々オープン 人気沸騰の背景に「映え」だけじゃない世界的影響力

発売1時間で完売してしまうという『旬゛喫茶パンエス』の『リボンパン』 撮影/編集部

音楽、映画やドラマ、ファッションからフードに至るまで、このところ日本での韓国コンテンツの人気は衰えを知らない。コロナ渦のステイホーム期間には、北朝鮮の軍人と韓国のご令嬢による恋愛模様を描いた『愛の不時着』(2019年)や、日本でも竹内涼真(29)主演でリメイク版が放送された『梨泰院クラス』(20年)といったドラマが配信で大人気に。7人組グループ・BTSの世界的な活躍はもはや言うまでもなく、世は韓流ブームだ。

「Z世代に特化したマーケティングチーム『SHIBUYA109 lab.』が発表した23年のトレンド大賞では、カフェ・グルメ部門で韓国発祥の『10円パン』が1位になったほか、アーティスト部門で韓国の5人組グループ『NewJeans』が2位に。

コスメ・スキンケア部門ではK-POPアイドルが再流行のきっかけとなったとされる、顔周りに段差をつけたヘアスタイル『レイヤーカット』が1位に。Z世代における“Kカルチャー”の強さがうかがえました」(エンタメ誌記者)

その韓国人気を裏づけるキーワードが「韓国っぽ」だという。若者文化や流行の最先端に詳しいトレンドアナリストの太田まき子氏が解説する。

「文字通り“韓国っぽい”、“韓国風”という意味ですが、いま若者の間では“韓国っぽい”=オシャレ、かわいい・かっこいい、という認識が広がっています」(太田氏)

“韓国っぽファッション”や“韓国っぽコーデ”など、さまざまな“韓国っぽ”がSNSで発信されているが、中でも人気なのが“韓国っぽカフェ”なのだとか。

「インスタグラムにおける“#韓国っぽカフェ”の投稿数は11万件以上。TikTokでは主に“#韓国カフェ”というハッシュタグで韓国風のお店が紹介されていますね」(前同)

そうした人気を受けてか、東京都内では韓国文化の発信地として有名な新大久保以外のエリアでも“韓国っぽカフェ”が続々とオープンしているという。

「新宿エリアに今年4月にオープンしたばかりの『Cafe Dalcomhada(カフェ ダルコムハダ)』は、白と淡いピンクを基調とした色使いが韓国っぽくてかわいいと評判。熊の形をしたクッキーが浮かぶ『クリームココア』や『クリームキャラメル』(ともに680円・税込/以下同)が人気です」(同)

■高級路線の韓国系カフェに無機質モード系の“韓国っぽカフェ”も

新宿以外のエリアにも、韓国風のカフェ”韓国っぽカフェ”がオープンしている。今年1月には表参道に『CAFE N°_5(ナンバーファイブ)』がオープンしたばかりだ。

「土地柄もあってか、店構えはハイブランドのショップのようで、店内には華やかなゴールドのシャンデリアも飾ってあったりと、高級な雰囲気が漂うお店。韓国で数年前から流行しているグリークヨーグルト(水切りヨーグルト)のメニュー『ミックスフルーツグラノーラグリークヨーグルト』(1500円)などメニューは韓国系です」(前出の太田氏)

一方で、“クール系”を売りにする新感覚の”韓国っぽカフェ”も今年4月に新宿エリアにオープンしたばかりだ。

「福岡発の『POSS COFFEE』が東京に進出。無機質でメタリックなデザインの店内がオシャレなお店です。パステルカラーのナチュラルな雰囲気が“韓国っぽい”と考えられがちですが、モノトーンで無機質・無彩色なモード系の雰囲気も“韓国っぽ”と人気。

同店で注目のメニューは『ティラミスプリンパフェ』(1350円)で、プリンやマスカルポーネのクリーム、アイス、コーヒーゼリーなどが積み重なったパフェは見栄えも抜群ですが、甘すぎずサッパリした味も絶品ですよ」(前同)

■テレビでも取り上げられた“1時間で完売”の『リボンパン』

多種多様な店舗が競い合う”韓国っぽカフェ”。そうした“韓国っぽカフェ”で目下、行列をつくるほど人気なのが、原宿にある『旬゛喫茶パンエス』だ。21年11月からある店だが、最近になって提供を始めた商品が大ヒット中なのだという。

「もともとレトロで“映える”純喫茶というコンセプトで知られるお店ですが、3月1日にリニューアルオープン。同時にリボンの形をした『リボンパン』(450円、注文はワンドリンク制)を発売したところ、11時のオープンから1時間後には完売してしまうほどの人気商品に」(前出の太田氏)

日本テレビ系『ZIP!』やTBS系『よるのブランチ』といった情報番組でも取り上げられた『リボンパン』。この人気は、近年の“リボンブーム”の影響も大きいようだ。

「K-POPアイドルきっかけで、ヘアスタイルのアクセントとしてリボンを使うといったリボンファッションが人気。英米のファッション誌でも取り上げられるなど世界的な流行にもなりそうな勢いなんです」(前同)

こうして『リボンパン』もSNS映えする人気アイテムとなったわけだ。

「ストローの先端に『リボンパン』を刺して撮るのがはやっているようです。また、お店自体“かわいい”と以前から評判ですが、入り口に大きなピンク色のリボンが飾られるようになり、よりフォトジェニックになっているので、ますますSNSに投稿したくなるのではないでしょうか」(同)

どの店でもスマートフォンのシャッター音が常に鳴り響いているという“韓国っぽカフェ”。まさに乱立状態――若者たちは今、“韓国文化”のトリコのようだ。

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