30年で若年女性半減 糸魚川市「消滅可能性」自治体に 厳しい結果に不安も

25歳の市民、出身者を対象に平成28年度にスタートした市事業「ふるさとリバイバル25」。若者のUターン、仲間づくりなどを目的に人口減少対策の取り組みとして継続している(初年度の様子)

糸魚川市は、今年4月に公表された民間の有識者組織「人口戦略会議」による分析で「消滅の可能性がある」自治体に分類された。

2020年から50年までの30年間に、出産の中心世代となる20~39歳の若年女性が半数以下に落ち込む。公表された分析レポートによると20年は2645人。50年は、自治体間での移動傾向が一定程度続く「移動仮定」で1181人となり、1464人減の推計。55・3%の人口減少率となる。

米田徹市長は13日の定例記者懇談会で「そうならないように人口減少、少子化対策にいろいろ取り組んできた。非常に残念に思う」とし、「今まで進めてきたこと、さらにこれからまた新たな展開もしなくてはならないと強く感じている」と受け止めた。

同市では女性や若者、出生数増加につなげようと地元定着、UIターン促進、出産・子育て支援などにさまざまな施策を打ってきた。

平成28年度から、25歳の市民、出身者を対象にした交流イベント「ふるさとリバイバル25」を実施。昨年度からは糸魚川商工会議所と共に同市出身で関東周辺在住の社会人・学生らを対象とした交流事業「チル・ナイト・ミーティング」も始めた。「対応策はしっかりとした考えの基に取り組んでいる。方向性としてカンフル的な部分も必要と認識した。視野に入れながら取り組んでいく」と考えを示した。

◇女性、若者 増加を模索

「糸魚川がなくなっちゃうの?」「住んでいて大丈夫なの?」。市民からも不安の声が聞かれる。

今春、東京都内の大学を卒業し、地元に戻って就職した女性(22)は「糸魚川市がこのままそうなってほしくはない。でもそうなる理由が分からなくもない」と複雑な表情を浮かべた。「みんな糸魚川が嫌いなわけじゃない。若い人が行きやすい、使いやすい店やイベントがもっとあれば」と望む。「地元から若い人を求めていることを発信すれば、糸魚川に戻るという選択肢も出てきやすい」と前向きに捉える。

米田市長は「他自治体とそんなに差があるわけではない。もう一度足元を見ていただくことをしなくてはならない。若い人の考えを聞き、情報共有をしながらやってきたこと、やっていくことを検証していきたい」と話し、周知や発信にも力を入れるとした。

定例記者懇談会で、糸魚川市が「消滅可能性自治体」として公表されたことについて所感を述べた米田市長(13日)

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