「ミニドライバー」流行の予感 テーラーメイドに続きキャロウェイ&タイトリストも

マックス・ホマの新2W。スプーンよりディープフェース。ドライバー寄りだが、BRNR Miniよりは小さい(撮影/服部謙二郎)

◇メジャー第2戦◇全米プロゴルフ選手権 事前(13日)◇バルハラGC(ケンタッキー州)◇7609yd(パー71)

米国でPGAツアーを取材していて、確信したことがある。それはミニドライバーが流行りつつあるということだ。トミー・フリートウッド(イングランド)、アダム・スコット(オーストラリア)に加えて、「メキシコオープン」(2月22日~)で優勝したジェイク・ナップもテーラーメイドの「BRNR MINI」をバッグに入れている。さらに、その後継モデル「BRNR MINI Copper」をロリー・マキロイ(北アイルランド)がテストしていたとの情報もある。

他社でいえば、マックス・ホマがタイトリストの新しいミニドライバー「TSR 2W」(まだメーカーから発表はなく正式名称は不明。というか、2番ウッド!?)を投入。キャロウェイも新しいミニドライバー「パラダイムAi スモーク Ti 340 MINI DRIVER」(こちらも正式名称不明)をツアーでローンチし、ザンダー・シャウフェレらがテストをしていた。つまり、それだけツアープロからの需要があるということだ。

マックス・ホマが新しく投入した小さなドライバー。ロフトは13度(撮影/服部謙二郎)

そもそもミニドライバーを入れるのはなぜか。かつては大型ヘッドになじめない選手がドライバーの代替として入れる傾向もあったが、今は明らかにスプーン代替の向きが強い。実際にプロの“ミニドラの入れ方”を見ると、ドライバーを抜いて入れる選手は皆無。スコット、フリートウッド、ナップ、ホマと、全員がスプーンを抜く「1W→Mini Driver→5W(ないしUT)」にしている。ではなぜ「ミニドラ>スプーン」なのだろうか。

「ちなみにタイトリストはミニドライバーじゃなくて2番ウッドだけどね(笑)」と付け加えたホマは「ティショットでドローを打つのに楽なんだ。ドライバーはフェード、2番ウッドでドローを打つ。2番ウッドを入れたことで、ティショットのアドバンテージを取れるのが大きいよ」と説明する。スプーンよりヘッドが大きく、フェースが厚いので下に当たってスピンが増えて吹け上がるリスクも少ないとか。なおかつクラブも短いので、ドライバーより簡単にドローが打てるという。1Wと3Wの弱点をうまい具合に補ってくれるクラブなのだろう。

アダム・スコットはBRBR MINIを1Wと5Wの間に入れた(撮影/服部謙二郎)

つまりドライバーはフェード(もしくはカット)、ミニドラ(ないし2W)はドローという棲み分けにして、ホールのロケーションや風の状況によって、クラブを持ち替えて球を打ち分けているということだ。ドローとフェードを打ち分けたいが、それをスイングでやるのは難しい。それぞれを打ちやすいギアでやる方が簡単ということなのだろう。

3番ウッドが苦手だったというフリートウッドもミニドラを1年前から投入し、「3Wよりちょっと飛ぶし、直進性も優れている。何よりやさしく感じて、スイングしやすくて気に入っているんだ」ともはや手放せなくなっている。地面から打つ分にも300cc前後のヘッドなら打ちやすく、「パー5の2打目で270~280yd残って、みんな2オンに苦労しているだろ? その距離にまさにちょうどいいクラブなんだ」(フリートウッド)と、“フェアウェイから”も重宝している。

ここまでじわじわと使用選手が増えてくると、そのうち3Wがなくなって、ミニドライバーというジャンルができるのではないかと想像も膨らむ。一方でアマチュアにとってのミニドラの位置づけはどうなのだろうか。まともに当たらない1Wを抜いてミニドライバーという選択肢が未だ現実的な気もするが、そもそも3Wを抜くにしてもソレを入れていない人も多いかもしれない。かくいう筆者もスプーンはとうに手放した。だって球が上がらないんだもの。(ケンタッキー州ルイビル/服部謙二郎)

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