不登校経験者の漫画家・棚園正一が、中川翔子とともに熱弁 「大人になることを楽しみにして」

中川翔子さん(左)、棚園正一さん(右)

シンガーソングライターの川嶋あいがパーソナリティーを務めるラジオ番組『明日への扉〜いのちのラジオ+〜』(ラジオ関西、毎月第1・2週日曜午後5時〜)。5月5日の放送では、タレントの中川翔子さんと漫画家の棚園正一さんがゲスト出演。

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2人の共通点である漫画家・鳥山明さんについての思いや、不登校に悩む子どもたちへのメッセージを語った。

“しょこたん”の愛称で親しまれ、歌手・女優・声優・イラストレーターなど、マルチに活躍中の中川さん。2020年にYouTubeチャンネル「中川翔子の『ヲ』」を開設し、現在、チャンネル登録者数は95万人にものぼる。自身のいじめ体験をつづったエッセイ「死ぬんじゃねーぞ!! いじめられている君はゼッタイ悪くない」(文芸春秋社)を出版したほか、現在は、過去の体験をもとにした講演にも登壇している。

とある出来事をきっかけに、義務教育期間を不登校で過ごした棚園さん。13歳のときに、漫画「ドラゴンボール」の作者・鳥山明さんに出会い、漫画家を目指すことに。その後、大学入学資格を取得し、名古屋芸術大学(愛知県北名古屋市)に進学。自身の不登校経験を描いた漫画作品「学校へ行けない僕と9人の先生」などが大きな反響を呼んだ。さらに、全国各地で不登校をテーマにした公演を開催している。

ゲスト2人の共通点は、漫画家・鳥山明との間に縁があること。先日の鳥山さんの突然の訃報について、中川さんは「言葉にならない」と心中を吐露。一方の棚園さんも「まだまだ心の整理ができていない」と悲しみに暮れていることを明かしつつ、「不登校という色メガネなしに向き合ってくれた」という鳥山さんとの出会いについて改めて振り返った。

好きなことを見つけること・探すことの大切さを、強く実感しているという2人。中川さんは「絵(を描くこと)は、精神統一にいい」と語り、現在もライブの前日には絵を描いているのだという。

「焦って見つける必要はない」と前置きをしつつ、自身は「好きなことがあってよかった」と感じている棚園さん。「自分なんか、私なんか……」「プロになれないかもしれない」と自信を持てないでいる子どもたちに向けて、「いま取り組んでいる、その時間を大切にしてほしい」とメッセージを送った。

昨年の統計において、小中学生の不登校児童が13万に近くにのぼっているという。この事実について、ゲストの2人はそれぞれこのように胸中を語った。

「私が学生だったころは、1度不登校になると復活する子はなかなかいなかったように思う。でも、生きていると、フリースクールに通うなどの別の選択肢から、『風が気持ちいいな』『今日は学校に行ってみようかな』という日が芽生えてくるかもしれない。なので、とにかく生きてくれることが最重要だと思います」(中川さん)

「僕自身も、不登校だった当時は人生が止まっているような気がしていた。でも、いま振り返ると、止まっているように感じていた時間も、らせん階段のようにちょっとずつ上がっていて、ほかの人とは違う景色を見ることができていたのかもと思えるときがある。取り戻せないことなんて、なんにもない。いま苦しさを感じている子どもたちは、大人になることを楽しみにしていてほしい。大人になるほどに楽しくなることは、いっぱいある。自分の未来を楽しみにして、焦らず自分のペースで過ごしてほしい」(棚園さん)

※ラジオ関西『明日への扉〜いのちのラジオ+〜』2024年5月5日放送回より

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