パナソニック ビエラの新製品6シリーズ13モデルは全部がAmazonのFire TV搭載!

パナソニックは6月下旬から順次発売するビエラの新製品を発表した。新製品は既存シリーズの後継も含む6シリーズで、有機ELテレビと液晶テレビが3シリーズずつ。すべてが4Kで、OSにはAmazonのFire TVが搭載されている。

ビエラの有機ElテレビでフラグシップとなるZ95Aシリーズ

独自OSからFire TV OSに切り替え、利便性や操作性が向上

従来、テレビはリアルタイム、または録画でテレビ番組を視聴するための機器だった。しかし、ネット動画配信サービスが普及拡大する中で、ユーザーはテレビで動画配信サービスのコンテンツ視聴を楽しむように変化してきた。

特にコロナ禍では在宅時間が長くなったことにより、テレビでネット動画を視聴するスタイルが定着。さらにスマートフォンやゲーム機器との連携も進み、テレビの役割は現在進行形で変化しているといえるだろう。

パナソニックは24年1月にラスベガスで開催されたCES2024においてAmazonのFire TVをテレビのOSに搭載することを発表していた。この協業が具体的な製品となったのが、新製品の各シリーズだ。

新製品は有機ELテレビと4K液晶テレビがそれぞれ3シリーズ

これまでパナソニックのビエラは独自のOSを搭載し、動画配信サービスにも対応。しかし、その対応アプリは約30種類にとどまっていた。テレビの使い方が多様化し、拡大するコンテンツへの対応も考えた結果、OSを独自OSからFire TVに切り替えたというわけだ。

テレビのOSにFire TVを搭載することでのユーザーメリットはいくつかある。まずはFire TV自体がさまざまなアプリに対応していることだ。有料動画配信サービスはもちろん、無料で視聴できるコンテンツも数多くあり、スポーツやニュース、音楽、ゲームなど幅広いカテゴリを網羅。そのコンテンツ数は30万を超えるという。

Fire TV stick、またはFire TV Cubeのユーザーであれば分かると思うが、ホーム画面はサクサクと快適に動き、コンテンツを探す際にストレスがない。また、Fire TVのOS化によって各種コンテンツとテレビ番組が同じホーム画面に表示されるため、ユーザーはシームレスに視聴コンテンツを選ぶことが可能だ。

ホーム画面ではコンテンツとテレビ番組をまとめて表示する

パナソニックの独自機能を継承し、他の機器との連携も拡張

新製品では単にFire TVを搭載しただけでなく、パナソニック独自の機器連携機能も継承されている。例えば、お部屋ジャンプリンクやMedia Access、過去未来番組表などは新製品でも機能として搭載されている。

従来のビエラの独自機能は新製品にも継承されて搭載

さらにビエラから音声操作でパナソニックのエアコンや見守りカメラ、照明などのAlexa対応機器を動作させることもでき、後述のZ95AシリーズとZ90Aシリーズ(以下、シリーズは略)は、別売りのUSBカメラを使うことでFire TV内蔵ビエラかカメラ内蔵Amazonエコーを所有している遠方の相手とビデオ通話も可能だ。

ミラーリングでAndroidスマートフォンやWindows PCの画面をビエラの画面に映し出すこともでき、他の機器との連携性も向上している。パナソニックとAmazonの協業が良い形で具現化されたといえるだろう。

Amazonとの協業により他の機器との連携も大きく向上

全モデルに新世代AI高画質エンジンを搭載

新製品では画質を向上させる技術もブラッシュアップしている。そのカギとなるのが、新世代AI高画質エンジンとうたうHCX PRO AI PROCESSOR MKII。高画質エンジンが担う高精細、広色域、高コントラスト処理がさらに進化し、ビエラ史上最高の映像体験を堪能できるという。

新世代AI高画質エンジンは2つの超解像技術を組み合わせたデュアル超解像が特徴だ。従来からの数理モデル3次元超解像と新たな機能として加わったAI超解像による高精細アップコンバート映像を、素材に合わせて最適に合成。従来の超解像技術を上回る解像感とリアルさを実現する。

デュアル超解像で映像を高精細かつリアルに映し出す

高圧縮データのネット動画などでは圧縮によって失われた階調データにより、グラデーションの部分が何層もの縞になって見えるバンディングノイズが目立ちがちになる。新世代AI高画質エンジンのネット動画ノイズリダクション機能は、映像のディテールを保持しながらキレイな階調を映し出す。

ネット動画特有のバンディングノイズも除去

さらに室内環境に合わせて画質を自動で最適化するDolby Vision IQ Precision Detailにも対応。また、FILMMAKER MODEでは再現する映像を、テレビ側の画質調整機能をオフにして、映画制作者の意図を優先した色温度で忠実に再現する。

マイクロレンズ有機ELパネルのZ95Aは最新世代のパネルを採用

ここで新製品のラインアップを紹介しておこう。有機ELテレビは3シリーズ、6モデル。フラグシップはZ95Aで、65V型のTV-65Z95Aと55V型のTV-55Z95A。ハイグレードと位置づけられているのはZ90Aで65V型のTV-65Z90Aと55V型のTV-55Z90A。中型のポジションがZ85Aで48V型のTV-48Z85Aと42V型のTV-42Z85Aだ。

発売日はZ95AとZ90Aがともに6月21日で、Z85Aが7月19日。市場想定価格はZ95AのTV-65Z95Aが52万円前後で、TV-55Z95Aが37万円前後。Z90AはTV-65Z90Aが40万円前後、TV-55Z90Aは29万円前後だ。Z85AはTV-48Z85Aが23万円前後で、TV-42Z85Aが22万円前後となっている。

有機ELテレビの新製品は頭文字をZで統一。77V型のLZ2000は24年も継続

フラグシップのZ95AはMZ2500の後継シリーズで、MZ2500で初めて採用したマイクロレンズ有機ELパネルを採用。バックカバー一体型放熱プレートと放熱シートを独自素材で貼り付けたデュアルメタルヒートレス構造もMZ2500から継続しているが、Z95Aでは最新世代のパネルを採用し、より効率的に光を取り出して高コントラストを実現している。

また、独自のパネル制御により輝度をアップするBright Boosterもさらに進化した。パネルの発光状態を画素ごとに管理するために従来は3次元映像信号解析と温度センサーを用いていたが、新たにリアルタイムパネル発光性能解析を加え、その解析結果をパネル制御に反映し、発光性能をより高いレベルで引き出すことが可能になったという。

Bright Boosterの進化で、さらなる高コントラストを実現

音については、360立体音響サウンドシステム+を採用。イネ―ブルドスピーカーとワイドスピーカーに加え、多数のスピーカーを前向きに並べたラインアレイスピーカーの採用で、ドルビーアトモスの音場を再現。部屋中が音に包みこまれるような臨場感を体験できる。

ハイエンドのZ90AはDynamicハイコントラスト有機ELディスプレイを採用し、イネーブルドスピーカー搭載により360立体音響サウンドシステムを実現。スタンダードモデルのZ85Aはハイコントラスト有機ELディスプレイを採用している。

有機ELテレビの各シリーズの違い

4K液晶テレビの最上位W95AはミニLED+量子ドットでWエリア制御

次に液晶テレビの新製品のシリーズとラインナップを紹介しよう。最上位はW95Aで、ラインアップは65V型のTV-65W95Aの1モデルのみ。ハイグレードのW90Aは65V型のTV-65W90Aと55V型のTV-55W90A、50V型のTV-50W90A、43V型のTV-43W90Aの4モデルだ。スタンダードと位置づけされているW80Aは50V型のTV-50W80Aと43V型のTV-43W80Aの2モデルである。

発売日はW90Aが6月21日で、W95AとW80Aはいずれも7月26日。市場想定価格はTV-65W95Aが37万円前後で、W90AはTV-65W90Aが30万円前後、TV-55W90Aが26万円前後、TV-50W90Aが20万円前後、TV-43W90Aが19万円前後だ。W80AはTV-50W80Aが14万円前後で、TV-43W80Aが13万円前後となっている。

液晶テレビの24年モデルは頭文字がWに変わる

最上位のW95AはバックライトにミニLEDを採用し、量子ドットとの組み合わせで色域を拡大。明るく、色鮮やかな映像を映し出す。バックライトのエリア制御に加え、細かいエリアごとにコントラスト制御を行うWエリア制御により、細部までリアルな明暗を再現する。

ハイグレードのW90Aは直下型LEDバックライトに分割駆動を採用した高輝度液晶モデルで、Wエリア制御も搭載。スタンダードのW80AはWエリア制御のうち、エリアコントラスト制御PROのみ対応している。

4K液晶テレビの各シリーズの違い

内覧会では実機を使ったデモも行われた。新しい高画質エンジンによる映像表現では、細かいディテールもしっかりと描写しており、リアル感が向上していた。ネットコンテンツではバンディングノイズが抑制され、クリアな映像を実感できた。

音に関しては上下左右からの音に包まれながらも、ただ迫力のある音ということではなく、効果音や音声などそれぞれの分離も効いている。低音がブーストされすぎていないので、音も含めた映像に没入できるという印象だ。

ついFire TV搭載に目が行きがちだが、基本となる高画質・高音質はきっちりと仕上げている。発売まではちょっと時間があるので、買い替えを検討している向きは、ビエラの新製品を視聴するまで待った方がよいだろう。

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