秋田・東成瀬村の「成瀬ダム」 建設費はさらに増 完成も2027年度にずれ込む見込み

秋田朝日放送

増額を重ねてきた成瀬ダム(秋田県東成瀬村)の建設費が原材料や人件費の高騰でさらに増える見通しとなりました。完成も1年遅れとなる見込みです。

災害の防止や農業用水の確保など様々な役割が期待され東成瀬村で工事が進む成瀬ダム。総事業費は2230億円、2026年度の完成を予定しています。しかし、その建設計画が遅れる見込みとなりました。

背景には残業規制による2024年問題があります。3月末までは作業員は残業を含めて1日12時間勤務の交代制で週休1日で組み立てられていましたが、超過勤務を前提としない働き方の変更が迫られました。4月からは残業はなく、1日8時間労働の週休2日制と1日の勤務時間が減り1週間あたりの休みが増えました。このため工期の延長が必要となり1年ずれ込む計算となりました。

また、物価の上昇でセメントなどの建設資材も高騰し建設費の変更も必要となりました。全体の建設費用は370億円増加の約2600億円となる計算で、このうち県の負担は68億円かかり増しとなる約460億円と見込まれています。

工期の延長や事業費の変更には地元の同意が必要で、現場を視察した佐竹知事は掘削する岩盤の形状を見直すなど約34億円のコスト削減に努めたとの説明を受けました。

秋田県 佐竹知事:「約80%完成しているので、最後までしっかりやる必要が十分にある。国から頂いた資料を更に精査し妥当性をチェックする。財政的にも無理があるのでなんとか平準化しながら県民に負担をかけないようにというのが一番必要かと思う」

建設計画の変更は今回で4回目です。工期の延長など変更点は6月の県議会で審議される予定です。

建設業界を巡っては大手ゼネコンの施工不良や施工計画の不備といったミスが相次いでいます。人手不足の深刻化に加え残業規制によって時間外労働ができなくなり施工管理が難しくなっていることが要因の一つと考えられます。成瀬ダムの建設工事では機械の自動化も進んでいますが建設業界の残業規制は県や市町村の事業にも関わってくるためその行方について注視していく必要があります。

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