“妄想センセー”鈴木馨祐議員を待つ厳しい選挙戦 自民裏金事件を政局話に矮小化する姑息

「国益」が大のお気に入り(C)日刊ゲンダイ

「(政治資金問題の)再発防止と自民党の力をそぎたいという政局的な話がごっちゃになっている」──。政治資金規正法の改正をめぐり、自民党政治刷新本部座長の鈴木馨祐衆院議員が12日のNHK番組で被害妄想を口走った結果、大炎上している。自民の裏金事件を政局話に矮小化しようとするあたり、姑息さがにじむ。

鈴木氏は同じ番組内で、選挙の裏金に使われた疑惑が浮上している官房機密費に関して、「選挙目的で使うことはない」と根拠もなく断定。翌13日に生出演したBS番組で「断言」の根拠を問われると、林官房長官が同日の会見で「個々の議員の発言にコメントすることは差し控える」と説明したことに触れ、「それ以上コメントしようがない」とスッとぼけた。

■元財務官僚のプライド

いい加減にも程があるが、この座長、経歴だけはピカピカだ。「御三家」に数えられる開成中高出身で、東大法学部を卒業後、旧大蔵省(財務省)に入省。2005年の郵政選挙に比例南関東ブロック単独で出馬し、名簿下位ながら初当選を果たした。

福田内閣で文科相を務めた鈴木恒夫元衆院議員の引退に伴い、09年の衆院選では神奈川7区から出馬するも落選。12年の総選挙で同区から国政復帰して以降、当選を重ねている。通算5期目の中堅だが、失言で炎上するまで決して目立つ存在ではなかった。

「優秀かつ真面目で人当たりも良いけれど、正直にモノを言ってしまうのが玉にキズ。よく地元のイベントに顔を出しているけれど、人との付き合い方が不器用というか、足元を固めるのが苦手というか。元財務官僚だし、プライドもあるのか、『支援してもらうのが当たり前』と思っているのかもしれません。このまま期数を重ねて将来は総理や大臣にまで上り詰めて欲しいけど、前回21年の総選挙では立憲民主党の中谷一馬衆院議員にギリギリ4000票差まで追い上げられたので、次回選挙は厳しい戦いを強いられるんじゃないか」(地元関係者)

輝かしいエリート街道と裏腹に、政治家生活は順風満帆とは言い難いようだ。別の関係者も「5期目ともなれば、入閣予備軍だが足元は決して盤石ではない」と言う。

そんな鈴木氏のお気に入りのフレーズは「国益」。自身のXに〈国益のために全力を尽くします〉〈我が国の国益に貢献すべく〉などと投稿し、国会質疑では36回も「国益」を使っている。そんなに国益が大切なら、税金が原資の官房機密費の使途にメスを入れたり、裏金事件の実態を明らかにしたり、妄言を吐く前にやるべきことが山ほどあるはずだ。

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