野口健が「Style2030 賢者が映す未来」に登場。父親から受けた影響と「世の中のB面を見る」意識とは?

登山家・野口健氏が、BS-TBSで5月19日放送のSDGs関連番組「Style2030 賢者が映す未来」(第3日曜午前10:00)にゲスト出演する。

「Style2030 賢者が映す未来」は、流通経済大学副学長・教授であるジャーナリスト・龍崎孝氏がホストを務め、さまざまな分野の第一人者をゲストに迎えて、SDGsの達成期限である2030年に向けて、われわれがどう思考をリセットし、どう暮らしを変えていけばいいのかを語るトーク番組。ゲストは、SDGs17の目標から二つをチョイスしてトークしていく。今回、野口氏は「パートナーシップで目標を達成しよう」と「質の高い教育をみんなに」を選んだ。

1999年に自身3度目のエベレスト挑戦で登頂に成功した野口氏は、25歳の時に7大陸最高峰を制覇。これは当時の世界最年少記録だった。登山家の活動だけにとどまらず、被災地の復興支援やエベレストの清掃登山など、さまざまな社会貢献を行ってきた野口氏が「世の中のB面を見る」と「義務教育に環境教育を」を提言する。

父親が中東専門の外交官で、ODA(開発途上国に対して政府などが行う支援)だったという野口氏は、幼少期から中東を転々とし、その国の様子を見てきたという。父親は世の中をレコードに例え、観光地など誰もが見るものはA面、スラム街などはB面で、「世の中のテーマはえてしてB面にある」と語っていたという。父親とさまざまな国を巡り、「この国には何が必要か」を考える旅をしたことが野口氏が提言する「世の中のB面を見る」ことを意識し始めたきっかけになった。

野口氏は日本の富士山についても言及。新幹線など遠くから見る富士山はA面、実際夏に登ってみた富士山はゴミがたくさんあり、B面だと感じたという。その現状を改善するべく、富士山の清掃活動を始めようとした野口氏だが、地元の人から批判された。批判の多さに疲れ、逃げたのは冬のヒマラヤだった。日本にいるだけでは視野が狭くなり、その中で考えようとするが、その場所から離れることで考え方に変化が生まれた。それまでは、自分の考え方=社会の考え方だと思い込んでいたが、立場が異なれば捉え方も人それぞれで、「自分の考え方は世の中の考え方の一つ」だと気付いた。日本に戻ってきた後、山小屋の人たちとコミュニケーションをしっかり取り、問題解決に向けて動いた。

そんな野口氏は、もともと環境問題に興味がなかったそうで、山に登るようになり、山からいろいろなことを学び自分の人生の道も見えるようになった。このような体験から、「自然と接したことがないと、地球環境に対して関心が持てないのではないか」と述べる。環境教育として、学校で講義するのもいいが、やはり“体験すること”が大切だと話す。

野口氏が携わってきた自然体験ができる「野口健 環境学校」に参加する子どもたちの親は、環境問題に興味を持つ裕福層が多かったということで、経済格差が学歴格差を生むように、体験格差も生まれると問題提起。「義務教育に『体験型環境教育』を取り入れることで格差を縮めることができるのではないか」と見解を明かす。

環境問題や生物多様性の保全など、幅広く精力的に活動を続ける野口氏が語るSDGsな未来とは? なお、放送終了後には、YouTubeで前・後編に分けて配信される。

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