今年「ラニーニャ現象」発生か “猛暑と大雨”の梅雨!? “観測史上1位”の夏!? 天達武史気象予報士解説

気象庁は2024年5月10日、去年の春から続いている「エルニーニョ現象」は終息に向かい、今後、平常の状態となる可能性が高く、その後「ラニーニャ現象」の発生する確率が高まっていると発表しました。

【写真11枚】今年「ラニーニャ現象」発生か 猛暑警戒 天達武史気象予報士が解説

その発生確率は夏にかけて50%、秋にかけて60%という数字になっています。

「ラニーニャ現象」とは?

「ラニーニャ現象」とは、南米ペルー沖の赤道付近で海面水温が平年より低くなる現象。これにより日本では猛暑になる傾向があります。
対して「エルニーニョ現象」とは海面水温が平年より高くなる現象。日本では冷夏になる傾向があります。

この「ラニーニャ現象」が発生した2022年には“過去最強クラスの勢力”とも言われた台風14号が発生。

九州地方を中心に広い範囲で被害がありました。さらに夏には都心で9日連続猛暑日を記録するなど、豪雨と猛暑に見舞われた年になりました。

今年の夏はどんな夏になるのでしょうか?天達武史気象予報士に解説してもらいました。

今年の梅雨への影響は?

まず今年の梅雨入り予想ですが、沖縄は5月の中旬ということで平年より少し遅くなっています。その他の場所は平年並みとなっています。

天達武史気象予報士:
今年の梅雨は“猛暑と大雨が隣り合わせ”。
梅雨入り前から熱帯の空気が入ってきてしまっています。
東南アジアの方から水蒸気たっぷりの空気が入ってきていて…、6月の前半くらいからシトシト雨というよりは熱帯のザーッというスコールのような雨が降り、梅雨にかかわらずゲリラ豪雨とかそういった降り方をします。だけどおそらく晴れる日も多いと思います。
雨量は多いけど猛暑の日も多いのが特徴です。
北海道も含めて30℃を超えるような日もあるので、梅雨っていう概念よりは雨期に入ったんだなっていう感じでしょうか。

――猛暑と大雨、どんな注意が必要ですか?
天達武史気象予報士:
梅雨なんですけど、夏から秋の台風で降るような雨の対策と、熱中症の対策が必要です。
申し訳ないんですが、梅雨の時期は一年中で一番天気予報がころころ変わる時期です。梅雨前線が同じ場所に停滞しなく一日もしくは数時間で微妙に鹿児島から宮崎に動いたりとか東京から伊豆諸島に動いたりっていうのがあるので。
30分前、1時間前と変わっていることが結構多いんです。
色々な種類のコンピューターで計算するんですけど、先々になってしまうとなかなか読みにくい。ガラッと変わるときが一日の中で何度かあるので、最新の天気予報を確認していただきたいです。

今年は“観測史上1位”の夏に!?

天達武史気象予報士:
今年の夏、ラニーニャ現象が発生した場合、観測史上1位の夏になる可能性があります。
何が1位かというと暑さもそうですが長さだと思います。夏がものすごく長くなる可能性があるというのは…「ラニーニャ現象」が起きるのがおそらく夏の後半から秋なんです。
ラニーニャがきてから実際暑くなってきたりするので。
そうすると真夏というよりは秋口の9月から10月にかけてもまだ真夏日という日が結構多くなる可能性は高いと思います。

ラニーニャ現象による生活への影響は?

ラニーニャ現象による猛暑。生活にはどのような影響があるのでしょうか。

第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏によると、ラニーニャ現象によってプラスの面は、
・海水浴やプールなど夏レジャーの活況
・南米、東南アジア、オーストラリアなどで大雨が降ることで干ばつが少なくなり、水不足が解消し、小麦・大豆・トウモロコシなどの生産量増加を通じて輸入食材の値上げ抑制につながる可能性。
・海水温の変化を引き起こし、魚類の回遊ルートに影響を与えることがあるため、ペルー沖やインド洋などでイワシやサバなどが豊漁になり、魚が安くなる可能性。

一方で、「電気・ガス・水道の利用増加で負担が増える」「農作物の収穫量が減少し、値上げで負担が増える」というマイナスの面もあります。

ラニーニャ現象で台風は?

天達気象予報士によると、今年の台風の特徴は“いきなり台風”。日本列島付近で発生してすぐ上陸する傾向があるといいます。

天達武史気象予報士:
ラニーニャの年ってわりと日本に近いところで台風が発生するんです。
ラニーニャ現象は南米ペルー沖の赤道付近で海面水温が平年より低くなりますが、では温かい海水はどこに行っているかというと、風に流されて日本の南あたりが海水温が高い領域になっているので日本に近いところで押しやられるような形で台風が発生するということが結構あります。

――そのぶんエネルギーの蓄積が少なく、そんなに大きい台風ではない?
天達武史気象予報士:
あまり発達しないです。ただ、発達するかどうかというのは風が強くなるかどうかという話なので、実は台風って弱い方が雨が強い場合が結構多いんです。
巨大台風っていうと大雨が降るのかというよりもむしろ風で。
そんなに強くない台風の時は熱帯の水蒸気がそのまま持ち込まれて大雨になるケースがあるので、雨台風に注意が必要だと思います。

(『めざまし8』 2024年5月15日放送より)

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