30年間専業主婦で欠かさず「国民年金」を納め続けてきました。将来毎月いくら受け取れますか?

専業主婦は第1号被保険者か第3号被保険者

専業主婦で夫の扶養に入っている場合の年金保険料は、自己負担するケースと負担しなくてもいいケースに分けられます。

そもそも、国民年金は被保険者の状態に応じて3種類に分けられます。以下では、日本年金機構の内容を基に3種類の被保険者についてご紹介します。

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・第1号被保険者:日本に在住している20歳以上60歳未満で学生や無職、あるいは自営業か農業を営んでいる方と、配偶者が第2号被保険者にも第3号被保険者にも該当しない方
・第2号被保険者:70歳未満で厚生年金保険に加入している方
・第3号被保険者:20歳以上60歳未満で第2号被保険者に扶養されており、原則年収130万円未満の方(条件によって厚生年金保険に加入している場合は年収130万円未満でも該当しない)
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会社員の夫を持つ専業主婦の場合、第2号被保険者である夫に扶養されているため、第3号被保険者の扱いになります。第3号被保険者は、第2号被保険者が保険料を負担しているため、自分で国民年金保険料を納付する必要がありません。

一方、夫が自営業や農業をしている専業主婦の場合は、夫と同じく第1号被保険者のため、国民年金保険料も自己負担する必要があります。

第3号被保険者の専業主婦でも不整合期間があると年金額が減る可能性

夫が会社員や公務員の専業主婦は基本的に国民年金の納付は必要ありませんが、夫が年上で専業主婦が65歳を迎える前に退職したときは注意が必要です。夫が退職すると、「第2号被保険者に扶養されている」という条件を満たさなくなるため、専業主婦は第1号被保険者に変わります。

第1号被保険者には自動で変わるわけではなく、自分で手続きが必須です。本来は第1号被保険者にもかかわらず手続きをしないままでいると、本来の年金とは異なる状態で記録されてしまいます。

これを「記録不整合問題」と呼び、第1号被保険者に変わっても変更の申請をしていない期間が「不整合期間」です。

不整合期間が存在すると、その期間は本来納めるべき国民年金保険料を納めていないため、将来受け取るときに正しい情報に修正され、結果として受け取れる年金が減少する可能性があります。

満額の年金を受給するためには、夫が退職したらすぐに住んでいる自治体の窓口に第1号被保険者への変更届を提出しましょう。

30年間年金を納めた場合の受給額

不整合期間や学生納付特例制度などにより、納付をした期間が30年のときの老齢基礎年金額を計算しましょう。日本年金機構によると、令和6年4月からの年金額は満額で81万6000円、月額にして6万8000円です。

ただし、満額を受け取るためには、40年間保険料を支払っている必要があります。そのため、納付した期間に応じて受給額は減少していき、30年の場合は年額61万2000円、月額5万1000円の計算になります。満額受給した場合の年金額と比べると年額20万4000円の差です。

また、専業主婦となる前に働いていた場合は、働いていた期間に応じて老齢厚生年金も受け取れます。例えば、20歳から30歳までは会社員、30歳以降は専業主婦で欠かさず国民年金を納付している場合は、満額の81万6000円が受け取れます。

国民年金の納付期間が30年の場合の受給額は年額61万2000円

夫が会社員や公務員の専業主婦は第3号被保険者に当てはまるため、自分で国民年金を納める必要がありません。ただし、夫が退職すると第3号被保険者ではなくなるため、自分で第1号被保険者への変更届を提出する必要があります。

本来は第1号被保険者にもかかわらず手続きをしないままでいると、記録不整合として将来年金を受け取る時点で修正され、受給額が減る可能性も少なくありません。もし夫が自営業である場合は、専業主婦も第1号被保険者なので自分で国民年金を納める必要があります。

国民年金の納付期間が合計30年だった場合、満額の年金81万6000円に対して20万4000円減少した61万2000円が受給額です。専業主婦になる前の勤務期間などによっても受給額は変動するので、気になる方は確認しておきましょう。

出典

日本年金機構 年金用語集 た行
第1号被保険者
第2号被保険者
第3号被保険者

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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